2)分析しても分からない商品特徴
食品表示だけで健康食品のよしあしを測るには限界がある。(上)では、制度上の原因を挙げましたが、ここではメーカー側の原因を挙げてみます。この話は、「ライバルに真似されない商品開発」から始まります。
ここで、プロのシェフと同じ料理本の同じレシピをもとに料理をつくってみて、同じようにおいしい料理が出来上がるかを想像してみてください。ある料理は、近い味になるかもしれませんし、ある料理はまったく別物になるかもしれないですよね。このように、食品をおおざっぱに分ければ、「表示を見れば特徴が分かる(真似しやすい)商品」「表示を見ただけでは分からないが、分析すれば特徴が分かる商品」「分析しても特徴が分からない商品」の3つがあると思います。
ここで大事なのは、「分析しても特徴が分からない商品」を目指すケースが増えてきているということです。その背景のひとつに、コンビニやスーパーなど流通業が独自のブランドマークをつけた「PB(プライベートブランド)商品」が増えている点が挙げられます。
本来、食品表示をするのはメーカー(製造者)なのですが、PBとなると食品表示に責任を持つのはコンビニやスーパー(販売者)になります。消費者から直接声をかけられる販売の現場ですから、その声を反映するべくJAS法などのルールよりも厳しい食品表示の自主基準を制定します。
例えば複合原材料で言えば、「○○ソース(トマト、食塩、その他)」と上位2つまでの表示でOKなのですが、この全開示を目指しています。メーカーとしてはこの3番目(5%未満)が隠し味なのですが、立場上、逆らいづらいものです。しかも全原材料(表示で分かる限度)と配合割合、全原材料の細目(分析で分かる限度)と仕入れ元まで記載した「品質規格書」も渡すことになります。健康食品も、同じことです。
こうした環境変化をうけて、メーカーは簡単に真似されないようにと「表示や分析でも分からない商品特徴」を模索する例が増えていると感じています。同じような商品なのに使い分けると何かが違う、という商品があるのはこのあたりにも原因があるでしょう。商品のよしあしをパッケージ情報だけから把握するのは難しくなっています。「ずっと食べ続けてもらえば分かる」という言葉から、真実を読み取る必要があると思います。
<プロフィール>
川合裕之(かわい ひろゆき)
香川大学卒業後、明星食品(株)に就職。営業職のかたわら、エリア向け商品の開発にも携わる。独立後、03年に(株)ラベルバンクを設立。食品表示の視点から安全性・機能性に関するコンサルティングを行なう。商品販売のためのプロモーションも手がける。
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