<ひと昔前、400億円を握ろうとした人がいた>
山崎広太郎さんは、4年前まで福岡市長のポストに2期8年間座っていた。現在、ライオンズ活動に専念している。特に力を注いでいるのがインドネシアにおけるマングローブの植林活動だ。この樹林は二酸化炭素を莫大に吸収してくれるので有名だ。「もうそろそろ人生回顧録を準備しましょうや」と誘い水をかけたことがある。「いやー、コダマさん申し訳ない。まだまだ枯れていないからもう少し待ってくれ」と断りしゃった。
「まだ枯れていない」という意味を吟味していた。そうしたら、最近「枯れていない」意味がよーくわかった。福岡市長選に立候補している(まだ実際には表明をしていないが)植木とみ子さんを応援しているのだ。彼が直接、動かなくとも彼のスタッフがとみ子さんの陣営で動き回っている。読者に誤解を与えてはいけない。広太郎さんの「枯れていない」という意味は宿敵・吉田現市長の再選をストップするまでは「枯れない」という意味だ。「前回の戦い相手をのさばらせてはいけない」という闘争意欲が燃えることは結構なことだ。
ところで、広太郎さんのマングローブ植林運動における実質的なスポンサーは山本亮氏である。天神4丁目・日銀福岡支店の道向かいにビルを所有している。同氏はもともと原木(最初は米材輸入)問屋を経営していた人だ。経緯は後で触れる。山本氏はソフトバンクの孫氏のオヤジの事業に資金援助をした。そこでソフトバンクの株を担保に貰った。1990年か91年(平成2年か3年)の頃だから同社株の価値は、まだ紙切れ同然であった。これが「あれよあれよ」という間に、株価が暴騰した。ピーク時400億円に迫ったのは98年(平成10年)頃だっただろうか。
<罪滅ぼしの植林活動がビジネス人生の最終決算>
この山本さんの事業は、最盛で売上げ100億円を超えることもあった。輸入したのは米材の丸太だが、「100億円の原木換算」は想像を絶する。「広大な北米の山を丸裸にしたことは間違いない」ことだけは想像できる(ちなみに、アメリカ・カナダの森林管理における行政指導は厳しい)。
原木輸入業を止めた山本氏は自問自答した。「地球温暖化は二酸化炭素が増えたからだ。商売といえども原木を伐採してきたことは山林面積を減らしたことに連なる罪深い行為であった。残された人生を植林事業に尽くそう」との結論を下したのではないだろうか。
研究した結果、「マングローブを増やすことが二酸化炭素を減らす一番の近道であること」を知った。自分の資財を投げ売ってまでの覚悟で個人的な植林運動を始めてみた。やってみて認識したことは「社会運動としてのマングローブ植林活動の重要さ」であった。面識のあった広太郎さんに相談したところ「ライオンズの組織を巻き込もう」となった。福岡地区のライオンズでも組織をあげて取り組む事業になったのだ。
2010年度の事業では、7月末にインドネシアへ植林に行くツアーの予定がある。筆者も同行する。ビジネス人生を振り返って、罪滅ぼしに緑化事業に私財を投げうつ決断をすることは容易にはできないことだ。あの世に現金を搬送できる道路が建設できるまでは金持ちの皆さん、広太郎さんや山本さんの爪の垢を煎じて飲みなさい。
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