業界団体の足並み揃わず
たたき台については、各委員からも意見書が提出され、業界側の日本健康・栄養食品協会の林裕造委員は、同協会を含む8業界団体で組織する健康食品産業協議会として、福島瑞穂大臣(当時)、消費者庁長官の内田俊一氏、消費者委員会委員長の松本恒雄氏に、健康食品の新たな表示制度の整備を求めた要望書を紹介。特定保健用食品の審査基準の明確化と、消費者の要望に見合った情報提供に関する仕組みの整備および表示内容の改善と保険用途の拡大、規格基準型トクホの拡充、業界の自主基準の運用促進などを求めた内容で、健康食品の包括した枠組みの必要性を説いた。(社)日本通信販売協会次期会長の宮島和美委員からは表示について「虚偽・誇大広告の禁止だけで、特商法、健康増進法、景品表示法と3つの法律が重複して規制対象となっている」と現行の規正法について指摘。事業者にとって表示規制の制度が分かりにくいため、運用や役割の整理をお願いいたいとし、消費者団体や行政などとの連携のため、早急に現状認識や自主規制のあり方を話し合う協議会の設置を提案した。
また、日本生活協同組合連合会の鬼武一夫委員は、食品の機能性に関する学術研究が、増大する医療費抑制することが目的であったことを明記するように求めた。また、国際市場で国内製品の競争力を高める上で、関連法規の整備が重要であることを強調。「やはり表示で規制すべき」と意見を述べた。
消費者団体は規制の連呼
一方、消費者側として食の安全・監視市民委員会代表で弁護士の神山美智子氏は、 新たな法的枠組み構築において重要な事柄として、法的に認められた食品以外の存在を許さないことや、認めるものと禁止するものについて、一義的なわかりやすい区分を定めることなどを示した。また現行法において直ちに行うべきこととして特定保健用食品の一時的な許可の停止制度や表示内容の統一・明確化、わかりやすい広告ガイドライン制定などを求めた。主婦連合会会長の山根香織氏は、特定保健用食品制度の廃止を含む抜本的な見直し検討が必要とし、「規格基準型トクホ制度」については、関与成分に関する研究成果を踏まえ、拡張を検討するとともに、新たな制度的整備を図ることとし、「"いわゆる健康食品"は食品であり、その点から各種管轄法による厳正運用の実施が必要。最低限でも、市販後調査制度の導入、事故情報の報告義務付け、消費者からの申出・意義申立制度の導入が必要」と消費者側は、規制強化に偏重した厳しい意見書を出した。
検討会は次回6月8日、これらをベースに論点をまとめていき、残り2回の議論で意見を集約、論点を整理し、8月に消費者委員会へ報告する。
【吉村 敏】
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