8日に発足した菅連立内閣で、農林水産相に長崎3区選出の山田正彦氏が就任した。
収束にメドが立たない口蹄疫問題への対応が迫られるが、もうひとつの懸案も抱え込んだことになる。
山田農水相は長崎3区の選出。地元長崎県は、諫早湾干拓事業の象徴となっている「潮受け堤防」の開門調査問題に揺れている。
塩害や水害の恐れを心配する地元農家や住民らは開門調査に反対。長崎県の中村法道知事も、一貫して開門には反対の意思を表明している。
一方、他県の漁業関係者から、漁獲量減少との因果関係を調べるため、潮受け堤防の長期開門調査が求められているほか、今年に入り、地元長崎県の瑞穂漁協も開門調査の実施を求める姿勢に転じている。
前任の赤松広隆農水相は、開門調査に前向きの姿勢を示していたが、口蹄疫問題が発生し対応に追われた。結局、結論が出ぬまま農水相のポストを離れることになってしまった。
問題は、菅直人首相だ。菅首相はかつて諫早湾閉め切りを「ギロチン」と呼んで激しく非難。ムダな公共事業の代表例に挙げてきたのである。
菅首相が変節していなければ、潮受け堤防の必要性について何らかの意思表示をすべきであるが、まずは担当大臣の山田農水相に開門調査への是非が問われる。
地元と政府の板ばさみ状態となることは明らかで、難しい判断を迫られることになった。
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