一方、ある仲介業者は「デベロッパーの資金繰りに更なるプレッシャーをかけないと、供給増や値下げに至らない」と話してくれました。
<大手仲介業者が逆転拡張>
「上海全域において、不動産仲介業店舗の4割が、5月の中古売買成約がゼロだった」と、大手仲介の「漢宇」の総経理が新聞のインタビューで言った。ちなみに、中国の仲介業者は、一般に中古住宅だけを取り扱っている。
さらに、数多くの小規模店舗が休業になりました。一部の会社では「自主的に職員に休暇を取らせる」動きも出ました。そして、去年においては募集困難だったブローカーが市場に出回るようになりました。
今回の取り締りにより、大変厳しい局面にもたらされたと認識しながら、将来に対する自信を持つ大手業者がいます。「2008年の金融危機とは違い、今回は中央政府がバブルを追い出すのが目的。不動産業界を滅ぼしたいわけじゃない」。
したがって、今の不況こそ、発展のチャンスだと捉えた大手仲介業者が拡大を急いでいます。「21世紀不動産」では、今年中に全国1,350店舗まで増やす計画です。その後、新築やビジネス物件の取り扱いへ範囲を広げていくそうです。
実際に5月、「漢宇」への新築物件販売代理の依頼が急増しました。同社は上海に限らず、長江デルタ地域にも進出する計画です。
一方、中古売買不振のかわりに、賃貸市場にスポットが当てられました。ある賃貸ネットサービスの統計では、5月にネットユーザーのアクセス数と電話で尋ねた顧客人数が4月より、それぞれ3割と4割増えました。供給と需要の倍率が4月の1:1から5月の1:1.5までに上昇しています。供給される新築物件の減少、依然として高い価格などが原因で「当面は買うより借りるほうが良い」という顧客の心理転換の結果だと分析されています。
行政のコントロールで盛夏から急速に真冬に転じる不動産業界のこの現状、果たして取り締り当初に予想していた効果を満たしているでしょうか?
【劉 剛(りゅう ごう)氏 略歴】
1973年12月生まれ。中国上海出身。上海の大学を経て、96年に地元の人材派遣会社に入社。10年3月より福岡に常駐。趣味は読書。
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