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注文住宅を建てる(4)~間取り・住空間を考えるII~
住宅・不動産
2010年6月10日 17:44

 「子供は、玄関から自分の部屋に直行して、部屋にこもりっきり。食事の時とテレビを見るとき位しか顔を合わさない。自分の見たい番組が終わったら、さっさと自室に戻ってしまう。朝は、ギリギリまで寝て、朝食をバタバタ食べて学校に行く。賃貸マンションから一念発起して、フルオーダーの一戸建てを購入し、子供へ自室を与えたものの、新居に移って以来、子供とのコミュニケーションが激減した。子供と常に顔を合わせられる間取りを正直なところ考えていなかった...。子供の自室を作ることを優先させたために、かえって日常生活へマイナスに作用してしまった。子供がどのような日々どのような生活をしているのか、ほとんど見えなくなってしまった」(あるオーナーの嘆き)。
 たしかに子供は、自分の部屋が欲しいであろう。あれば当然嬉しいはずだ。しかし、家族とのコミュニケーションが激減するのは本末転倒。何のために新しい住まいを造るのかということを再考しなければならない。子供との会話が激減し、親子間のストレスが増大する。その波及で夫婦間のコミュニケーションが崩壊...。せっかく夢を抱いて新築した住まいが、家族にとって負のスパイラルに陥らせてしまうようでは本当に不幸で、ローンだけが空しく残ってしまうことになるだろう。

 これから新築を検討している方々に僭越ながら提言しておきたい。
まずは、家族皆で快適な生活を実現出来ることを最優先した間取り・住空間を描いていただきたい。家に居て安らげる、楽しく・明るく・朗らかな気持ちで生活できる空間でなければならない。

 実際の事例を紹介する。
 両親と子供の勉強するスペースを2階へ広く造り、お互いの部屋は、正に寝るためだけの最小限のスペースにした間取りの住居がある。その住まいは、リビングを通らなければ自室に行けない。そのような導線を引き、常に家族と顔を合わせる空間を造っているのだ。そして前述した通り、子供が勉強する時も親も一緒にパソコンで調べ物をしたり、子供が親に質問したりするなど、常にコミュニケーションが取れる住空間を造っている。

 家族構成や生活リズムなどは千差万別で、正解は無いだろうが前述事例の住居に住む家族は、いつも元気で朗らかな生活を営んでいると聞く。

(つづく)

【河原 清明】


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