福岡市は、なぜ詐欺事案を放置したのだろう。
右の文書は昨年2月、福岡市が運営費の大半を負担する体験型ロボット施設「ロボスクエア」で不適切な会計処理が発覚。関係職員を処分した際に「不適切な契約」についての調査結果をまとめた文書である。
一読してわかるように、ロボスクエアの運営費に絡み詐欺の疑いで逮捕、起訴された元市職員・新川信一被告の所業について記されている(新川被告は、収賄の疑いでも逮捕されている)。
新川被告は、A社(データマックスの調べで、A社とは福岡市内のイベント企画会社『フォルス』と判明)がロボスクエアのイベントで計上した損失を補填するため、平成19年度と20年度に行われたロボット競技会「ヒューマノイドカップ」で、A社と不適切な契約を結んでいたとされる。
不適切というが、A社は実際には大会運営自体に関わらなかったうえ、運営経費を建て替えて担当職員に渡すだけの仕事しか行わず、ディレクター代や運営管理費など余分な経費を受け取っていたというもの。明らかな詐欺行為である。ちなみに新川被告が逮捕されたのは、平成17年に行われた別の「ヒューマノイドカップ」運営費に関する詐取行為が明らかになったためである。
見逃されたものがあったのは確かだが、福岡市の調査で6件に及ぶ不正契約が見つかっていたことは下の文書が証明している。市側は、実質被害額を約83万円としているが、契約自体が虚偽なのだ。公金詐取であるならば、この段階で「ロボスクエア運営委員会」に被害届を出させるか、詐欺で告訴させる形を取るべきだった。
運営主体が任意団体である「ロボスクエア運営委員会」であっても、事務に関する一切は福岡市の経済振興局が担っている。同委員会の事務局長は市の部長、事務局次長が課長なのだ。
刑事訴訟法の第239条第2項は「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」と規定している。
福岡市は、なぜ新川被告らを野放しにしたのだろう。
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