<古い福岡の体質を打ち破れ>
今回の特別清算の件については、水面下で話が動いていたのは去年の10月頃からだったようだ。
「去年の6月に都市未来ふくおかから出向していた博多リバレイン管理の社外取締役とホテルオークラ福岡の監査役が一気に辞めた。その頃から何か動きがあるなとは感じていた。エスビーシー清算のときはマスコミで大騒ぎになった。当時は営業している店舗が閉店になるかもしれないなど、目に見えるかたちでの懸念事項があったからだ。ところが今回は、何の役割を果たしているかも分からず注目度がなかった」(A氏)という。たしかに、01年5月エスビーシーが特別清算の方針を決めたとき、弊社も「都市未来ふくおかも一緒に清算すべし」と主張したことがあった。
百貨店計画が頓挫し、代わりに欧州の有名ブランドを集結させた「スーパーブランドシティ」(SBC)を核店舗とするため、当時、都市未来ふくおかの副社長で「地上げの天才」の異名をとった古田義行氏がSBC案を仕掛けた。そもそも、都市未来ふくおかの設立自体も古田氏の発案と言われている。渡辺通・春吉地区再開発に当たって強腕を振るっていた人物だ。ただ、福銀の子会社だった福岡商事(当時)から元本社社屋に隣接する土地602坪を坪当たり1,149万円で購入するなど不自然な動きも見受けられ、弊社でもこの点を追及したこともあった。
SBC開始当初、都市未来ふくおかとのちのエスビーシーは、博多リバレインの事業主体・下川端地区市街地再開発組合と施設のフロア購入契約を結んだ。しかし、購入代金計約400億円(99年11月時点)の支払いが滞り、また売上不振も相まって02年9月エスビーシーの特別清算の方針に踏み切った。このとき都市未来ふくおかも清算決議をすべきだったのだろうが、折しも98年から渡辺通・春吉地区の大規模再開発に着手しており、そちらの方で存在意義を示しながら今日まで至った。
現在、同社に残された資産は、リバレイン11階のオフィス、博多座のフロアの一部、ホテルオークラ福岡の所有権の一部など、かなり少なくなっていると聞かれる。清算完了するのもさほど時間はかからないと見る向きもある。
そのようななかで湧いて出た天下り話。「下手をすれば株主代表訴訟を起こされてもおかしくないのに、なぜそんな人事の噂が立つのだろうか」と首をかしげるA氏は「論功行賞かもしれないし、以前に博多座の立ち上げに関わったからかもしれないが、ともかく安易な人事」と切って捨てる。
いずれにせよ都市開発に関しては、もはや旧態依然とした行政トップの方法(三セク)では再び蹉跌の歴史を歩むだけだろう。となれば、福岡の落ち込んだ都市力はもはや民間企業の力なくしてはどうにもならないのだが、少なくとも七社会トップ型ではダメだということは同社の歩みが証明している。
福岡の都市力を高め、二度と蹉跌の歴史を辿らないためには、行政・七社会を頂点とする古い福岡政財界の体質を打ち破り、若い力による都市づくりへの関心と積極的な口出しが不可欠だ。
【大根田 康介】
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