実際に子供を香椎幼稚園へ通園させている保護者に、同幼稚園の教育について取材した。まず、同幼稚園へ通園させることを決めた理由について訪ねてみると「近所の人の評判」を聞いてという声があった。その評判は、「先生ひとりに園児が30人というマンモス幼稚園に比べ、先生の目が生徒全員に行き届いている」というものだった。
待機児童が問題となっている今、福岡市においても各保育所へ定員いっぱいに子供を入れるといった措置が取られている。大切な子供を預ける保護者の立場で考えれば、たとえ保育所や幼稚園に入れたとしても、保育士や先生のしっかりとした管理のもとに置かれるかどうか、不安を覚えるのは当然である。
現在、香椎幼稚園は、定員175名(1クラス35名の5クラス)のところ65名の園児が通園している。なお、2012年3月31日に閉園予定のため、園児の募集は行なっていない。同幼稚園に限らず、定員割れしていることを幼稚園の教育が時代のニーズに対応していないと見る者もいる。だが、「1クラス35名」という定員は、幼稚園設置基準第3条で定められた"限界値"であることを踏まえて考えなければならない。それを超えると、教育はおろか安全管理にも支障をきたすという値なのだ。定員に余裕を持たせていることは、子供にしっかりとした教育を行うことを優先した結果と言える。
香椎幼稚園で行なわれている「徒歩通園」については「今の時期しか、親子が一緒になって通うということができない」という声があった。また、ひとりひとりの個性を重視して、"成長を見守る"といった教育スタイルも評価が高い。同幼稚園の教育は、子供に興味を持たせることから始まる。文字、数字、自然(植物)、食べ物など、さまざまなことに対して、子供が自発的に「学びたい」という気持ちを持つように持っていく。そのプロセスの結果、子供たちは保護者も驚くほどの知識を得ていくという。増えた知識は話題となる。ほとんどの保護者が「通園を始めてから、子供との会話が増えた」と口を揃えた。同幼稚園の教育がひとりひとりの児童に行き届いていることの表れでもある。
【山下 康太】
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