ロボスクエア事件が詐欺から贈収賄へと発展するなか、公金詐取という重大な事案でありながら、その内容さえ把握していなかった吉田宏福岡市長の無責任さを報じてきた。
今月8日の定例会見で、昨年市側が調査して発覚していた別の公金詐取のカネが、一部返金されたことを聞かれた市長は、まったくかみ合わない答弁を行った(既報)。
会見の詳細からも、吉田市長の姿勢が浮き彫りとなる。
── こうして捜査が広がったということは、市側の調査が不十分だったのではないか。
市長 我々にとって権限の及ぶ範囲では、本当に一生懸命調べてやった結果でして、強制力がない中での調査というのは、やはり限界があります。全部を把握できなかったというのは我々としてもそれはある種、力不足ではありますが、しかし、警察が持っている強制力とか捜査をする権限に比べれば市の調査というのはやはりおのずと限界がありますので、不十分だと言われればそれは結果としては不十分なところはあるということは認めますが、限界はあるということも理解をしていただきたいと思っています。
── 懲戒処分をしたときの事案の中で、市側が損害を被ったお金が確か90万円あって、(市側が)会社側に返還を求めていた。一昨日になってやっと5万円だけ返ってきたということを聞いている。捜査が広がっている中で、ようやく返してきており、えらく遅いような印象があるが。
市長 捜査とのかね合いがどこまであるかは分かりませんが、例えば退職金の返納にしても、こちら側が接見できない中でなかなか進めにくいところもありますし、捜査との絡みがどこまであったのかというのは、5万円についての詳細は私もよく分かりません。
(注・市長は何を質問されたのか、まったく分かっていなかった。質問された5万円の返金については、昨年市側がロボスクエアの運営経費を洗いなおした際に発覚し、福岡市のイベント企画会社「フォルス」に対し、返金を求めていたものだ)
── 今回の逮捕事案とは関係ない事案で、水増し請求していた会社の分だ。その分を去年の3月に会社サイドへ請求していたら、1年以上たって一昨日戻ってきたということだ。
市長 古賀容疑者の方の会社ですか。
── 今回の会社とは違う。
市長 要するに1年ぐらい後にやっと持ってきて遅いということですか。
── そうだ。
市長 1年間、それは遅いですよ。ただ1年間何もしてないというわけではなくて、やり取りをした中での1年の経過というのもあるのではないかなと思います。何回、どういうやり方でどういう頻度で請求したかどうかというのは、いまの時点では、私は詳しくは知りませんが、1年たって持ってくるのが遅いじゃないかというのは、遅いと思います。こちら側からはしっかり返せということは言い続けて、向こうが1年後に持ってきたということかもしれませんし、その辺はもっと知っている人がいれば説明してもらいましょうか。1年後というのは遅いですよ。
解説するまでもないやり取りである。吉田市長は聞かれた事案について何も理解しないまま答弁をつづけ、報告を受けていなかったことを露呈してしまった。これが吉田福岡市政の現実なのである。
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