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特別取材

変わる食用塩表示 出鼻を挫かれた公正競争規約(2)
特別取材
2010年6月18日 08:00

<行政処分が結束もたらす>

 このような動きに水を差す事態が訪れたのは04年7月のことだった。公正取引委員会は景品表示法違反のおそれがあるとして、沖縄や兵庫、愛媛、神奈川で家庭用塩の整合・販売業を行なう9社に対し、文書で警告した。内容は原料原産地や製法に関する表示で、実際以上に優良と誤認される疑いがあるというものだった。
 危機感を抱いた業界各社は、海の精、伯方塩業、天塩、青い海などを中心に業界初の団体となる「食用塩公正取引協議会準備会」を発足し、表示ルールの適正化に向けた勉強会をスタートさせた。公正競争規約に基づいた統一の表示規格基準策定に向け、大きく動き始めたのである。これが06年のこと。わずか10年前まで専売制によって牛耳られていた業界には当時、団体というものが存在していなかったのだ。
 構成メンバーには旧専売公社時代からの創業企業(創業90年以上)、特殊製法塩関係企業(創業30年~50年)、さらに専売廃止後の創業社(創業5年~10年)とそれぞれ違った歴史を持つメーカーが混在していた。そのため、用語1つの改廃でも利害がさまざま生じ、意思統一に困難を極める。とくに旧専売公社が統括していたなかで、自然塩復活運動などにかかわってきた歴史のあるメーカーが、20年~30年以上にわたり努力して知名度を上げてきた「自然塩」などの言葉を廃止せざるを得なくなるなど、歴史の浅いメーカーとの調整は並大抵のことではなかった。会社によっては致命的なダメージになりかねない。「そのために繰り返し話し合わなければならず、コンセンサスを得るのに時間を要した」(関係者)という。
 準備会での活動はすべてボランティアで、行政機関との折衝を根気強く行なった。そうしたなか、不二家シュークリームの賞味期限偽装事件など大手食品会社による表示偽装が相次ぎ、幹事会社18社は「正確な表記の大切さを改めて認識し、協議会設立に向けて一丸となった」という。
 そして08年4月、ついに食用塩公正取引協議会が設立され、「公正競争規約」が告示された。会長には伯方塩業(株)の丸本執正社長が就任、副会長には(社)日本塩工業会に勤務していた尾方昇氏、(株)天塩・飯田好市社長、(財)塩事業センター・山口雅樹理事、海の精(株)・村上譲顕社長(現・会長)らが就いた。後述するが、尾方氏は5月12日付の産経新聞で問題発言を行なったとされる渦中の人である。理事には自然塩復活運動を進めた(株)青い海と(株)白松、旧専売系の(株)日本海水、日本精塩(株)、海外塩を扱うマルニ(株)、木曽路物産(株)、SWKイーストアジア(株)、その他元売業者や(社)日本塩工業会ら12社・団体で構成された。監事には塩元売協同組合とジャパンソルト(株)が就いている。構成メンバーのバランスを見ると、それぞれの立場に配慮した苦心の跡がうかがえる。
 同協議会では、表示の切り替えや在庫整理のために、完全実施まで2年間の猶予が与えられた。これにより、消費者に向けた食用塩のルール作りが整備され、マーケットでは新たな商品提案も開始された。

塩の変遷

(つづく)

【田代 宏】


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