福岡市が、ヒートアイランド対策の一環として市役所前広場に敷設した「人工芝」に、大きな疑問が浮上した。
問題の人工芝は、福岡市が都心部のヒートアイランド対策のため市役所前広場の有効利用を企図し、平成19年度から複数の実証実験などを経て敷設したもの。昨年6月、市役所前広場1,650m2の敷地に、約4,400万円をかけて人工芝を敷設していた。
人工芝敷設に至る過程では、実証実験など7件の業務委託を発注し、計3,336万2,700円を費消していた。敷設工事費と合わせると約8,000万円の公金を使ったことになる。
福岡市のホームページには、人工芝を敷設した広場の供用を紹介しており、「芝生を敷いて、気温上昇を防ぐ」として、《ヒートアイランド対策として芝生を敷いたり、屋上緑化をする事で、太陽光が直接あたらず、アスファルトやコンクリートが暖めにくくなり、気温の上昇を抑える事ができます。太陽光の照り返しも無く、緑化で景観も向上するので、目に優しくて涼しい、クールスポットが完成します》と記した上、《昨夏の実験でも、保水性人工芝を敷く事で、体感温度が2~3℃下がるという結果が出ています》(強調部分は取材班による)、と明記していた。
第一の問題は、《昨夏の実験でも、保水性人工芝を敷く事で、体感温度が2~3℃下がるという結果が出ています》という点なのだが、文中の実証実験で明らかになったのは、人工芝以上に『天然芝』が優位であるという結果だった。福岡市側は、この事実に触れることなく、《体感温度》が下がるのは《保水性人工芝を敷く事で》として、人工芝だけの効能であるかのように装っていた。
実証実験の結果について検証してみたい。
(つづく)
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