<教育の安心・安全>
香椎幼稚園に入園したことで子供がどう変わったかについて、保護者へ質問した。
「子供が卒園して小学校に上がった時に気付きましたが、今の小学生はごく少数の特定の子としか遊ばないんですね。うちの子を含めて香椎幼稚園では、分け隔て無くみんなと遊ぶ習慣があったので、その違いに気付いたときは正直ショックを受けました」(保護者談)。
香椎幼稚園の教育を通じて生まれるのは横のつながりだけではない。以前の記事でも触れたように、縦割りのグループ編成で行なわれるカリキュラムにより、年上の子が年下の子の面倒を見るといった縦のつながりも生まれるという。「学年が違っても、香椎幼稚園のOB同士で助け合うということもあります」と、ある保護者は話す。
子供だけではなく保護者においても縦のつながりが生まれる。保護者の体験談では、小学校入学時に先に入学した保護者が相談に乗ってくれたことがあるという。徒歩通園や自由参観における保護者同士の交流により、良好な人間関係を構築される。そうして卒園後も続く教育の『安心・安全』が、香椎幼稚園が地域から高い評価を受ける理由のひとつであろう。
地域に幼稚園が無くとも、通園バスなどで通える範囲に空きのある幼稚園があればいい。はたしてそうだろうか。距離を隔てられた子供は近所で他の子と一緒に遊ぶ機会を失ってしまう。結果、家に閉じこもってゲームなどで遊ぶことが当たり前となる。そして、その習慣が小、中、高と続いていく。人間形成の根幹部分である幼児教育が歪めば、その後の教育も歪んでいくだろう。小1プロブレムが一番分かりやすい例である。
福岡女子大学の建て替え工事に伴い、香椎幼稚園は閉園を迎える。保護者からは「公立大学に留学生を迎えるために、納税者である県民の生活に損害を与えていいのか!」との批判の声があがっている。大学教育と幼児教育、そのふたつは天秤にかけるものではない。
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