福岡市が市役所前広場に敷設した「人工芝」への疑問はふくらむばかりだ。
福岡市は昨年3月、平成20年夏に行ったヒートアイランド対策実証実験について調査結果をまとめ、概要を公表した。下の文書がその「平成20年 市役所西側ふれあい広場 ヒートアイランド対策実証実験 熱環境調査結果概要」である。
【調査結果】には、「気温」の測定結果が示されているが、《天然芝上、保水性人工芝上、白色タイル(現状)上の気温については、大きな差は認められませんでした》と明記している。設置面積が小さく、気温が下がる前に風で流されると弁明しているが、実証実験で、気温を下げる効果が認められなかったことは明らか。これではヒートアイランド対策に有効とは断定できない。
さらに、地表面温度については、次のように記されている。《保水性人工芝の表面温度は、表面が湿っている状態では、白色タイル(現状)と大きな差はありませんが、表面が乾いてくると白色タイルよりも高くなっています》。
一般的に、人工芝の表面は、湿っていれば地表面温度と変わらないが、乾燥すると高くなるといわれ、それこそが人工芝の欠点とされる。
人工芝が乾燥した場合は、地表面温度を上昇させ、敷設面積によっては気温の上昇を招くということになる。これではヒートアイランド対策にはならない。そのため、天然芝同様、人工芝にも大量の「水」が必要となるのだ。
実証実験結果の記述は《天然芝の表面温度は、白色タイルより低くなっています》と続けられており、天然芝の優位性を認めている。
ここまでの実験結果からは、人工芝を選んだ理由が見当たらない。さらに、文書の検証を続けてみよう。
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