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東京・大阪に続々誕生する新都市開発ビル、この厳寒時期に果たして入居率は?
建設
2010年6月22日 11:46

 来年の春先に向けて東京・大阪で豪華ビルが続々開業する。大阪駅・梅田駅周辺には4つの百貨店で合計の売り場面積25万m2という百貨店集積地が誕生する。
 この広さは東京・新宿地区の面積に匹敵する広さだ。大阪駅ビル内の大丸は現在の1.6倍の広さに売り場面積を増床工事中だし、新築工事中の駅ビル「新北ビル」には伊勢丹がオープンする予定だ。さらに1年遅れの2012年春には阪急デパートの改装も完了し、阪神デパートと合わせて4つの百貨店が集積することになる。総事業主のJR西日本の総投資額は約2,100億円にのぼるが、百貨店スペースの他にオフィススペ-スや8つの中庭が点在する豪華な配置になっている。
 また、大阪駅に隣接する旧貨物スペースの大阪駅北地区先行開発区域プロジェクトも当初の計画より1年遅れで3月末に着工しており、三菱地所、NTT都市開発、積水ハウス、阪急不動産等12社が開発事業者として名を連ねている。このプロジェクトはAブロックが約10,571m2、Bブロック約22,680m2、Cブロック約4,666m2の敷地面積であるが完成すると延べ床面積約556,700m2もの巨大プロジェクトとなる。
 先に述べた伊勢丹の売上計画は坪効率月60万~70万円と大阪地区の百貨店の平均値の半分程。売上目標を控えめにしており、大丸も売り場面積が6割増えるのに売上目標は2割増と計画を抑えている。阪急百貨店は上層部をオフィススペースの入居予定が未だ30%程度しか埋まっていない。JR西日本の新北ビルは伊藤忠商事が60%程度を埋める予定で自社の使用スペースを併せて漸く採算点に達している状況だ。これに大阪駅北地区開発プロジェクトの10万m2のオフィススペースが加わることを考えると、完全に需要を供給が大きく上回ることになる。これら大阪の「キタ」地区の供給ラッシュ以前に開発された「ミナミ」地区の新興ビル群もいまだに空室が目立ち、景気回復の兆しが見え始めたといっても大阪地区のテナント獲得競争はこれからが本番である。

 積水ハウス(株)の発表では、東京都品川区の旧ソニー本社ビル跡地(敷地面積:約29,000m2)に建設中の、オフィスビルや賃貸マンションからなる複合開発(仮称:御殿山プロジェクト)のなかのAブロック(敷地面積:約16,000m2)が来年2月に竣工する。
 このビルは国内初の環境配慮型オフィスビルというのが謳い文句で、大規模な省エネ型LED照明、クールピット(地中熱の恒温性を利用した省エネ技術)、自動CO2制御システム、外気冷房、大規模緑化等を採用する。
 しかし、積水ハウスは前期に約650億円、大和ハウス工業が162億円近い棚卸資産評価損を計上しており今後これらのオフィスビルの竣工ラッシュによる供給過剰がテナント料の引き下げ要求となって顕在化してくると両社のみならず他のディベロッパー共々業績の脚を引っ張る可能性がある。
 政府も法人税引き下げ等を打ち出そうとしているが、参議院選挙の帰すうがハッキリしてからの審議になり、実効性が出てくるのはまだまだ先の話である。しかし内需の盛り上がりに欠ける経済情勢に痺れを切らした企業は、工場等の生産設備の海外移転に拍車を掛けるだけでなく、本社機能そのものまでシンガポール等へ移転することを考え始めた。日本国内の少子高齢化による急速な需要縮小を考慮すると、海外企業も日本進出どころか日本脱出を急ぐ可能性の方が大きく、今後ぞくぞくと供給されるテナントビルへの入居率が上がる見込みは少ない。住宅新築需要もエコポイントや贈与税の減免額の拡大等の政策効果で漸く上向いてきてはいるものの、この効果も年内一杯しかなく来年以降は反動減が予想される。積水ハウスや大和ハウス工業の都市再開発事業も正念場を迎えることになる。
                               

【徳島 盛】

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