あす、参院選挙がスタートする。衆議院に続き参議院でも民主党が過半数を獲得し、安定政権を築けるかどうかに注目が集まるが、就任直後の菅首相が打ち出した消費税10%アップ構想が争点として急浮上。そのことの是非が問われる選挙でもある。公示を控え、消費税をめぐる騒ぎに疑問を呈しておきたい。
大手メディアが実施した世論調査では、半数前後の調査対象者が消費増税について理解を示す結果となっている。しかし、まわりを見渡してみると、正反対の意見ばかりだ。
年金生活者で70代の男性は「どうなるのか不安。これ以上の負担には耐えられない。総理や民主党は生活重視と言ってきたが、民主党に(政権が)変わっても、何も良くならない。生活は厳しい。子どもを持つ家庭や農家だけが現金もらう社会はいびつじゃないの」。
雑貨店を営む60台男性は「もう店を閉めるしかないかな。これ以上消費が冷めるようなことが続けば、小さな商店はひとたまりもない。世論調査の数字はおかしい。菅さんはサラリーマン家庭の息子だったと言って市民派を気取るが、実は違う。庶民のことを考えるなら、安易な増税ではなく徹底的に改革をしてからですよ。国会議員の数も減っていないし、企業・団体献金もなくなっていない。自民党政権時代からたまったツケを納税者に押し付けようとしているだけ。官僚制打破を言ってた人が、財務省の役人に籠絡されただけ。消費税アップは財務省の方針に過ぎないでしょう。」。
40代の専業主婦は「民主党は嘘つき政党。公共事業など、削れるものは全て削ると言っておきながら、何も変わっていない。選挙目当てのバラまき政策のツケだけを国民に押し付けるのはおかしい。事業仕分けなんか、ただのパフォーマンス。(世論)調査が来たら、絶対反対と言ってやる」と手厳しい。
こうした声は一部であろうと思っていたが、どちらを向いても増税反対の意見ばかり。世論調査と民意にズレがあることは間違いないようだ。
それではなぜ、多くの人たちが世論調査で「増税やむなし」と答えてしまうのだろう。
ある古参ジャーナリストは、次のように話す。「日本人は、マスコミに迎合してしまう。評論家や学者が、もっともらしく『消費増税をやらなければ財政破綻をきたす』と話し出すと、『ああ、そうなんだ。それが常識人としての考え方なんだ』と思い込んでしまう。すると世論調査などでは、気取って『増税やむなし』と答えてしまう。だが、実際に財布からプラス5%が出て行くことに直面すると、『反対』に変わるんだよ」。
なぜ消費税アップが必要なのか。なぜ10%なのか。詳しい説明もないまま、参院選が始まる。
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