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【トップインタビュー】グーグル名誉会長 村上憲郎氏(4)~世界の体系を掴むべし
直撃インタビュー
2010年6月24日 08:00

成功体験は捨てよ 若者と新技術が切り拓く時代へ

 ―ネットが発達するにつれて、情報や知識の価値が大きく変化したと思います。その点はどのように感じられますか。

100624_google04.jpgグーグル名誉会長 村上憲郎氏村上 それはあると思います。昔は何か調べものをしようとすると、大学の図書館へ行ったり物知りの人に聞きに行ったりといったことがあったかも知れません。けれどもネットを使えば、なかには危うい情報もあるためすべてを信じるわけにもいきませんが、少なくとも「この言葉はこのあたりの話だな」ということはすぐに分かってしまいます。そういう意味においては、何かすべてを覚えていなければダメだということはなくなっているかも知れません。

 ただし、記憶力の代わりに情報の目利きの必要はあります。私は「フレーム・オブ・リファレンス」(frame of reference)という言い方をしていますが、知の枠組みというか世界の構造というか大枠を掴んでおき、そのなかで個々の年号、登場人物などの詳細部分は記憶してないけれど、大きな流れみたいなものは逆にしっかり捉えておく必要があります。今の世の中は情報が溢れかえっていますから、的確な情報を選び出すというのはちょっと難しくなっているかもしれません。

 二律背反的なところはあると思いますが、何かを覚えていることによってどうこうというのは、もうないのではないでしょうか。かといって、まったく基本的なことを知らないでいいのかと言えば、そういうわけではありません。枠組み、フレームですね。体系の枠組みというか大枠みたいなものは、逆に必要になってくる。だから、勉強するという意味においても、木ではなく森を見よ、あるいは俯瞰せよと私自身の著作でも述べています。

 ―たしかに、昔は記憶していることへの憧れのようなものがありました。今はむしろ、細部の情報が多いために全体像が見えにくくなっている面は大いにあると思います。

村上 教育の仕方にしても、天下国家、世の中、森羅万象はどういう配置になっているのかという軸を大きくつかまえて、細部についてはその度にググればいいということだろうと思います。

(つづく)

【聞き手:大根田 康介】

<プロフィール>
村上憲郎氏村上憲郎氏
1947年大分県佐伯市生まれ。70年京都大学工学部卒業。卒業後日立電子に入社。78年日本DECに転職、86年から5年間米国本社勤務、帰国後92年に同社取締役に就任。94年に米インフォミックス副社長兼日本法人社長。98年にノーザンテレコムジャパン(現ノーテルネットワーク)社長。2001年にドーセントジャパンを設立し、社長に就任。03年より米グーグル副社長兼日本法人社長に就任。09年より現職。著書に『村上式シンプル英語勉強法―使える英語を、本気で身につける』、『村上式シンプル仕事術―厳しい時代を生き抜く14の原理原則』がある。

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