平成20年、福岡市がヒートアイランド対策の一環として行った「平成20年度市役所西側『ふれあい広場』ヒートアイランド対策実証実験業務」は、天然芝、保水性人工芝、保水性ブロックについて、その効果を比較するものだった。
しかし、この業務委託では、仕様書において「クリヤマ株式会社」(本社:大阪市)が扱うイタリア・モンド社製人工芝「モンドターフ」を指定していた。
福岡市に残された公文書を確認したところ、「なぜ人工芝に決めるのか」という方針決済の文書がないばかりか、肝心の「モンドターフ指定の経緯」がまるで見えてこない。
しかし、誰かが命じなければ特定企業の商品を仕様書に明記することなど不可能だ。謎を解く鍵は、モンドターフを扱うクリオカのサイトにあった。
同社のサイトでは2008年1月31日、「モンドターフとスポーツフロア最新ニュース」として07年12月の日刊スポーツの記事を紹介。記事は『地球にやさしい福大式人工芝』とのタイトルで福岡大学がサッカー場に敷設した人工芝によって同年5月から治水やヒートアイランド現象抑制の実証実験をおこなっていることを報じていた。
さらに同記事では、人工芝敷設の効果などを紹介した後、同サッカー場が日本で初めて、国際サッカー連盟(FIFA)から人工芝の最高規格2スター(FIFA主催国際試合が開催可能)の認証を受けたとしたうえで、『福岡大は、福岡市や人工芝メーカーであるクリヤマ株式会社と、この実験について連携協定を結んだ。09年までに効果が実証されれば、市の施設でも技術を活用していく』と記していた。
福岡市のホームページで確認したところ、07年5月に、市と福岡大学との間で「福岡大学の仮設サッカ-場整備に係る技術開発及び地域貢献に関する基本協定」を結び、記者発表までしていたことがわかった。
その内容を詳しく見てみたい。
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