<金属材料だけでなく 鋼材販売も>
同社の強みは、工場を有機的に連携させることだけではない。リサイクルと両輪で、鋼材の販売業も手がけている。原料を高炉・電炉業者に渡し、製品化されたものを自分の手で販売しているのである。スクラップヤードとして出発した宇美町の土地は現在、鋼材倉庫として活用されており、6,500m2の敷地に常時5,000トンの鋼材を準備している。年間で5万トンもの鋼材が、この倉庫から九州全土の建設現場へと運び出される。この規模は、西日本でも指折りのものだ。
また、宇美鋼材倉庫では、最新の機材を導入して鉄、アルミの加工もこなす。ただ鋼材を仕入れて現場に運ぶというだけではなく、曲げや切断、穴あけなど顧客のニーズに応じた加工まですることができるのだ。特筆すべきは日本で2台目という最新加工機械「鏡面処理アルミ切断機」の導入である。コンピュータ制御されたこの機械でアルミを磨きながら切断する。切断面は鏡のような輝きを得て、造船、家電、IT分野など幅広いフィールドをターゲットにすることが可能となった。
「創業当時は『H鋼はあるか』といった問いに対して『H鋼って何ですか』と聞き返すくらいの素人でした。お客さまから一つひとつ勉強させていただき、今に至っております」(竹田社長)。
鉄という素材のリサイクルを通じて、一代で築き上げられた同社。できる限り金融機関からの借り入れをせず、自己資本や私募債で設備を拡張させてきた堅実な経営は、学ぶべきところが多い。
(株)竹田商会
代 表:竹田 奉正
所在地:福岡市博多区上牟田1-17-21
創 業:1964年
設 立:1980年
年 商:85億円(今期予想)
従業員数:約80名
【柳 茂嘉】
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