25日、国土交通省は宇部三菱セメント(株)のセメントを使用した高強度コンクリートについて、大臣認定の仕様に適合しないものがあると発表した。6月16日に同省への通報で発覚した模様。
同省が調査を行なったところ、宇部三菱セメントが販売したセメントを使用し、建築基準法第37条に基づく建築材料の大臣認定を受けた別紙に掲げる高強度コンクリートについて、これらのコンクリートを使用した建築物のうち一部の建築物に大臣認定の仕様に適合しないコンクリートが使用されているおそれのあることが判明。概要は以下の通り。
・大臣認定仕様との相違点:大臣認定を受けた高強度コンクリートについて、大臣認定で定められた水和熱の品質基準値(330J/g以下)を満たさないセメントが使用されている
・大臣認定仕様に適合しないコンクリートが使用されたおそれのある物件数: 約90件(調査中)
・同省において、これらの高強度コンクリートの問題に関して専門家会合を開催し、技術的検討を行った結果、該当するコンクリートはJIS規格に定める基準値(340J/g以下)は満たしており、他の同種の高強度コンクリートの大臣認定では基準値を340J/g以下としている事例も多数あり、強度その他の性能には支障がないとの所見が得られた。
現在該当する高強度セメントが使用されている建築物は、東京・神奈川・埼玉の3都県。2007年以降に出荷された製品の一部であるという。現在のところ建築物の建て替えなどの措置は必要ないという見通しであるが、品質管理面からするとマネジメント体制が問われるであろう。ひとつ間違えれば大問題に発展することを肝に銘じて戴きたい。
【河原 清明】
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