2007年5月、福岡市は福岡大学との間で「福岡大学の仮設サッカー場整備に係る技術開発及び地域貢献に関する基本協定」を結んだ。福岡大学が、土壌改良した地盤上に人工芝を敷設したサッカー場を整備したことを契機に、同サッカー場を利用し、水害対策やヒートアイランド対策を進めようというものだ。
同時に福岡大学は、同サッカー場に関し、福岡市との協定とは別に、クリヤマ株式会社(大阪市)との間に、産学連携包括協定を結んでいる。
一連の協定について、クリヤマ社のホームページには次のように記されていた。
《福岡大学サッカー場にて、福岡市、福岡大学、クリヤマ(株)の産学官共同プロジェクトが2007年5月に誕生しました。 今後約2年間、実証・研究を続け、新たな技術開発を協力して進めていきます。その取り組みとして、人工芝でモンドターフファインチューンシステムが採用されました。人工芝の下部には保水性の高い特殊マットレスと透水性・保水性の機能を合わせ持った改良土を使用しています》
協定が、福岡大学を中心として、福岡市、クリヤマを結んだブリッジ協定だったことは明らかで、福岡大学の公表資料「福岡大学産学官連携学際プロジェクトの紹介」には、サッカー場を使った実証研究プロジェクトのメンバーとして福岡市、クリヤマ(株)、モンド社(イタリア)などが明記してある。
モンド社とは、問題の人工芝「モンドターフ」を開発したイタリアのメーカーであり、クリヤマがその「モンドターフ」の日本国内における総代理店の立場にあることは報じてきたとおりだ。
不可解なのは、07年の協定締結当事、福岡市が発表した資料等にクリヤマ社の存在が記されていないことだ。もちろん「モンドターフ」という人工芝の名称も出てこない。
福岡大学とクリヤマ社の公表資料などには、同大学サッカー場を利用した実証実験のメンバーとして「福岡市」が登場するが、市側は「クリヤマ」あるいは「モンドターフ」についてほとんど言及していないのである。
福岡大学のサッカー場に敷設された人工芝は、言うまでもなく「モンドターフ」だ。「モンドターフ」なくしては、前述の協定も実証実験も成り立たない。なぜ福岡市は「モンドターフ」を利用することを明確に公表しなかったのだろう・・・?
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