「生コンクリートの知識など家造りとどう関係があるのか」という疑問が出てくるであろう。
たしかに前回述べたように、家造りにおいて生コンは表舞台に出てこない存在である。
だが、この基礎工事で手を抜かれたらその家は、将来不幸なことになる。
以下、福岡市の住宅施行会社幹部の談話である。
基礎工事の工程は、地縄から始まり地鎮祭・遣り方・外周部型枠組み・捨てコン・鉄筋組みなど多数の工程があるのだが、何よりも大切なのがベース生コン打ち込みと立ち上がり生コン打ち込みであろう。技術的なことは割愛するが、ここで大切なのは生コンの品質である。この品質は、施主がチェックすることが非常に望ましい。
材木やサッシ・壁などの材料の質に関しては、どのハウスビルダーも揃えてくることが現在スタンダードになっている。いわゆる"当たり前"。だが、基礎工事に関しては、あまり施主がチェックし、意見することは少ない。ある種ハウスビルダーの言いなりになっているケースが多々見受けられる。
この生コンは、字のごとくまさに生物でJIS規格では90分以内に荷卸を完了しておかねばならない。だが、前述したとおり生コンは"消費期限"の短い製品であるので、時間経過する程品質は劣化する。一概には言えないが、理想は1時間前後で荷卸が完了し、打ち込みをすることが良しとされる。
では、何をチェックすればよいのか。細かな技術的なことまでチェックすることもさることながら、生コンを出荷した工場を問い質すことはすべきだろう。少しでも原価率を下げようと、安い生コンを納入するハウスビルダーが存在する。地区によって生コン価格は違うが、基本的に協同組合での価格が基本路線であるので、その価格よりかけ離れた安い価格であれば、少し疑ってもいいだろう。生コンの原材料の配合によって強度が違ってくる。
基礎工事で、欠陥が発生してしまうと地盤を含めた土台を揺るがしてしまう。生コンの品質は、是非とも予備知識として持ち、設計士や現場監督にキチンと話が出来るようにしてもらいたい。そして誤魔化さず生コンの出荷元を表明するハウスビルダーは、信頼できるひとつの要因である。〔談話終〕
現在は、検査が厳格化し、基礎工事の手抜きは出来ないと言われている。だが、その材料のひとつである生コンの品質に関しては、より安い原価に流れるハウスビルダーが存在することは確かだ。注文住宅を新築する際は、是非「どこの生コンを使うのですか」と、施主は施工側に質問してみると良いだろう。
【河原 清明】
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