なぜ「人工芝」なのか。なぜ「モンドターフ」なのか。疑惑はさらに膨らんでいる。
福岡市に残された公文書からは、だれが「人工芝」利用を決めたのか、どうして「モンドターフ」だったのかについて、理由を示す文書が見当たらない。
福岡市は昨年夏、約4,400万円もの工事費をかけて、市役所西口の広場に人工芝「モンドターフ」を敷設した。
同広場を利用したヒートアイランド対策として、「人工芝を敷設」するという結論を得るまでには、わかっているだけでも次のような業務委託を繰り返していた。
●「本庁舎西側広場ヒートアイランド対策検討業務」に283万5,000円。
●「平成20年度 天神地区の熱環境調査業務委託」に598万5,000円。
●「平成20年度 市役所西側『ふれあい広場』ヒートアイランド対策実証実験業務委託」 に1,470万円。
●「 同 (その2)」に18万2,700円。
●「 同 (その3)」に178万5,000円。
●「市役所西側ふれあい広場整備検討業務委託」に199万5,000円。
●「平成21年度大都市中枢街区におけるヒートアイランド対策による熱環境管理推進事業委託業務」に588万円。
7件の業務委託費は、計3,336万2,700円にのぼる。
これだけの公金を注ぎ込みながら、業務委託の内容をまとめた成果物からは「人工芝」利用を結論付けるための決め手は見当たらない。報じてきたとおり、天然芝と人工芝の効果を比較するために実施され、最終的に人工芝利用を導いたことになっている「平成20年度 市役所西側『ふれあい広場』ヒートアイランド対策実証実験」の記録には、「天然芝」の優位を示す記述しか残されていない。
「人工芝」利用は、誰が、いつ、決めたのか。改めて市環境局の担当課に確認したところ、人工芝を利用するという方針を決めた経過や、「方針決済文書」は残されていないことが明らかとなった。「人工芝」利用に至る過程が不透明なまま、関連業務を含め1億円近い公金を支出したことになる。
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