日本経済新聞によると国内主要業の2010年3月期決算を地域別に集計ところ、4社に1社でアジア地区での業績が稼ぎ頭となったようだ。アジアの営業利益は金融危機前の82%まで回復、米州が43%、日本国内が30%だったという。
6月22日15時より西鉄グランドホテルにおいて『ベトナム・ロンアン省投資セミナー』が開催された。福岡市には昨年東京、大阪に次いで3番目の在福岡領事館が開設されている。当日は15時から18時までのセミナー、18時から21時近くまでの懇親パーティまで熱心な150社を超える参加者で盛況であった。
ベトナム・ロンアン省が主催し、在福岡ベトナム領事館・九州経済産業局・福岡県・(社団法人亜)九州経済連合会・福岡商工会議所・九州ベトナム友好協会・北九州ベトナム協会が後援して開催された。
ロンアン省はベトナム最大の商業都市ホーチミン市の西南西の隣接しメコンデルタの要衝に位置する。ホーチミン市から以前は1時間半以上を要していた地区であるが高速道路や環状線が張り巡らされるようになり現在では20分~40分で行き来できるようになった。さらに国際空港やメコン川の水上交通網も整備されサイゴン港までの物流網も発達している。メコン川の向こう岸はカンボジアである。既に首都のハノイからホーチミン市までの南北縦断の高速自動車道や新幹線建設のプロジェクトも検討されており、またベトナムからインドまでの高速自動車道建設も具体化する見込だ。メコン川も中国雲南省からタイ、ラオス、カンボジアを経由してホーチミン市を通って南シナ海に通ずる運河すなわち大きな物流手段にする動きもある。このような将来の巨大インフラ整備計画等を考慮に入れると、ロンアン省は魅力的で最良の投資エリアと言える。
現在、中国では工場労働者が賃金引上げと劣悪な雇用環境改善を求めてストが頻発している。台湾資本のホンハイ精密工業の中国子会社のフォックスコンで自殺者が相次ぎ賃金等を含めた待遇改善のストが発生したのを皮切りに、日本のホンダやトヨタ自動車の部品製造工場でもストが起き本体の完成車工場が創業停止に追い込まれた。
中国への進出企業はこうしたカントリーリスクを分散させる意味で、生産拠点をタイやベトナム、マレーシア、インド等への工場進出を図ろうとしている。
今回のセミナーでの説明によると、ベトナムの総人口は約8,500万人、その内の約1,800万人が10代で、国民の平均年齢は28歳と高齢化が世界一のスピードで進む日本に比べると非常に若い国家である。アジアの他の国と比較すると品質管理力に優れているという。
中国は従業員の定着率が悪く、ある程度の期間が過ぎると他の条件の良い企業へ移ったり出身地へ帰郷するので人の入れ替わりが激しく、新しく入社した従業員に常に教育、訓練が必要になる。先にも述べたようにホーチミン周辺に4つの環状道路があり、空港や港湾にも近く物流費が非常に安い上に、人件費は中国の1/2、タイの1/4と安価である。また識字率も90%以上で日本人と優劣はつけ難いほど優秀である。
九州でも友好協会を設立準備中であるが、既に日本からも多数の企業がベトナムに進出しているが、九州からは29社が進出済みである。
当日の同省における工業団地の紹介は以下の3件であった。
1.TAN DUC(タンドック)工業団地
2.DONG TAM(ドンタム)工業団地
3.LONG HAU(ロンハウ)工業団地
今回のセミナーでは進出企業の成功例として、福岡県糟屋郡宇美町が本社の(株)IBERO―JAPANの代表取締役社長 芝山 温氏、ならびに住友林業(株)海外事業部 チームマネージャー 佐野昌典氏および同社のパーチクルボード製造の現地法人 ECO BOARD社駐在 中川御氏から詳しい説明があった。
両社共に強調することは政治・経済体制が非常に安定していること、進出した工業団地の管理組合のフォローが徹底していること、教育水準が高く優秀な人材が確保し易いこと等であった。住友林業は進出して歴史が浅いがJIBERO社は総売り上げの50%以上が欧州向けであったが最近のギリシャを始めとする金融危機による景気の落ち込みを同社のベトナムでの成長が下支えし、ベトナム法人での売上規模が30%を超えるまでになったと言う。
ベトナム政府は日本・ベトナム経済連携協定(EPA)に基づき海外、特に日本企業誘致のためにいろいろな優遇策を設けているが、部品を始めとして何千もの品目等の輸入に関しても関税は無税である。また製造業については100%独資による進出を認めていたが、小売り、卸売り、についても100%出資による進出を認めるようになった。
こうして、ロンアン省の経済成長率はベトナム全体の平均成長率の2倍を誇るようになった。2001~2005年の段階では年9.4%だった成長率が、2006~2010年の段階では11.8%を達成できる見通しだという。
閉塞感に覆われた日本の国内需要の中で過当競争に巻き込まれ企業体力を蝕まれていきつつある日本の中小企業も、中国以外にベトナムにも目を向けチャレンジすることも考えるべきであろう。
資金面の諸優遇策もあるので下記に問合せて見てはいかがだろう。
【徳島】
国際機関 日本アセアンセンター(東南アジア諸国連合投資観光促進センター)
〒105-0004 東京都港区新橋6-17-19 新御成門ビル
TEL:03-5402-8006 FAX:03-5402-8007
ベトナム大使館 外国投資促進事務所
〒151-0053 東京都渋谷区4-59-3 大永初台マンション504
TEL:03-6300-9967 FAX:050-1167-9226
http://vietnamebassy.jp
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら