福岡市役所西口広場に敷設された人工芝を巡り、不適切な事業の進め方が浮かび上がってきた。
下の文書は、平成20年に福岡市が1,470万円をかけて行った「平成20年度 市役所西側『ふれあい広場』ヒートアイランド対策実証実験業務委託」 の仕様書。実証実験が《ヒートアイランド対策》であり、《西口広場を有効利用するため、地盤改良等により暑熱感の緩和効果やイベントへの影響などを調査する》ためであることを明記している。
重要なのは、《この結果を踏まえ、平成21年度以降の同広場における恒久的なヒートアイランド対策の可否の検討を行う》とのくだりである。
問題の業務は、《恒久的なヒートアイランド対策の可否の検討を行う》ための検討材料、つまり《可否の検討》のための実証実験であって、「人工芝」を敷設するか否かを検討するためのものではなかったということだ。
しかし、これまで報じてきたとおり、実証実験以後、その結果は歪められ、あたかも「人工芝」だけに優位性が認められたかのような文書だけが残されていく。作為的と言っても過言ではあるまい。
さらに問題なのは、仕様書に《モンド社製 モンドターフファインチェーンシステムとする》として、特定メーカーしか扱っていない人工芝を指定したことだ。
「モンドターフ」は、イタリアのモンド社が開発した保水性人工芝で、国内では、ゴム・合成樹脂製品の販売・施工を行う「クリヤマ株式会社」(本社:大阪市)が独占的に販売している商品だ。
クリヤマしか扱えない人工芝を仕様書に明記した経緯は極めて不透明。市環境局温暖化対策課には、「モンドターフ」指定までの経過や、誰が方針を決めたのかを示す文書は何一つ残されていないことがわかっている。特定メーカーとの癒着を疑われても仕方がない状況なのだ。
さらに不思議なのは、現在市役所前広場に敷設されている人工芝が「モンドターフ」であること。敷設工事の仕様書では、「モンドターフ」は指定されていない。しかし同工事の施工体系図を確認したところ、下請けにはしっかりと「クリヤマ」が入っていた。
外形的事実を見る限り、「はじめにモンドターフありき」だったとしか思えないのだが・・・。
いったい誰が「モンドターフ」を推進し、その使用を命じたのだろう。
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