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賃貸トラブル解決の新潮流―ADRが示唆するもの(下)
深層WATCH
2010年7月 3日 08:00

<賃貸に絡む意外な盲点>

 家賃契約をめぐるモメ事の奥は深いが、そこには地域性という要素も生きている。
 日住検が手がける大半は個人だが、意外な盲点は法人社宅やオフィス。入居するのは個人だが、家賃支払いは会社というケースである。単身であれ、家族であれ、転勤で出ていくときに家主側の言いなりに敷金を棒引きされる。「本人は会社が払ってくれるという意識があり、会社もそんなものかと不当に高い原状回復費を負担している」(日住検敷金診断士)こと。さらに、オフィスの保証金の場合は、個人の賃貸住宅よりはるかに高い。それが原状回復費名目で大幅に削られても社員個々にそんな意識はなく、会社もそのまま受け入れるケースが多いという。出入りの激しい消費者金融などは、その典型とか。
 会社が全国に拠点や社員を配置する企業は肝に銘ずべき。賃貸に絡む意外な盲点に目を向ければ、大幅なコスト削減になる。
 「貸し主側からは『借り主に変な知恵をつけるな』と怒られることもありますが、社会常識的にも法的にも双方が適正なところで折り合えば、長期的にはそれがプラス」という大谷理事長によれば、東京を中心とする関東ではその意識が浸透しつつあるという。さまざまなトラブルを受け、まず国交省がガイドラインを設け、さらに東京都が「東京ルール」と呼ばれる条例を制定。家主も不動産仲介業者も消費者サイドに軸足を移すことが、「信頼」という互いの利益になることに気づいてきたという。
 公正、公平の原理が広まるのは結構なこと。西日本の家主、不動産仲介業者も「借り主側の評価」という新たな尺度に気づくのが長期的視野であり、借り主もそれに気づくべきだろう。

(了)

恩田 勝亘【おんだ・かつのぶ】
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない―舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』(七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。


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