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大手食品営業マンの告白

大手食品営業マンの告白~クレーム処理にもうヘトヘト
大手食品営業マンの告白
2010年7月 5日 10:58
山笠太郎

 食品&健康食品業界に携わってかれこれ30年弱。学生時代は食品業界に就職するなんて全く考えてもなく、ましてや健康食品なんて存在すら知らなかった小生の現在・過去・未来の問わず語りデス。
 雪印問題で世間が大騒ぎしていた頃、とある講演会で業界紙の重鎮はこう語りかけた「日本では毎年交通事故で1万人近くの人が死んでいる、しかしながら自動車メーカーは全く影響なく繁栄し続けている。食品業界ではどうだろう・・・・・・? 1人死んだだけで上を下への大騒ぎとなり、関係したメーカーは確実に倒産するだろう」と。
 平成20年度の交通事故死者数は5,155人。自殺者数は平成10年以降毎年3万人以上です。この数字は毎年、西南戦争(6,971人)と日清戦争(13,619人)、満州事変(17,176人)が起きているような状態・・・・・・とも言えなくはないですよね。
 ちょうどその当時、小生は某食品メーカーの健康食品部門の課長でありました。輸入ワインのラベルのシール不良でさえ騒ぎ立てられる、ヒートアップした状況でしたね。
 そんな時、小生の担当していた自然食品に針金が入っていたという大クレームが発生。お客様から針金を入手し、調べても該当する針金はどこの工程でも未使用。お客様はピンポイントで混入した行程を突き止めて改善内容を示し、「謝罪しないと出るところへ出るぞ!」っていう状況。委託先の製造現場へ行き、隅から隅まで調べ尽くしてもわからないまま。お客様とのやり取りは行き詰まり状態に・・・・・・。
 「いよいよ社告かぁ」という断崖絶壁ギリギリの状況に・・・・・・。そこでスタッフ総動員で土・日を利用し店頭から買えるだけ商品を購入、全て検品チェック。異物が検出されなければ個別クレームとして対応しようという事に相なった。
 結果的に何も検出されず、最悪の事態は免れる事に(ホッ)。あとはこじれているお客様のところに、今日が最終報告・説明の日、同行の品質管理担当には最悪、土下座しかないと言っておいた(今考えると何も解決にはならないのですが)。お客様のご自宅へ伺うと、先ずケーキとコーヒーが出てきた。この瞬間直感的に山は越えた・・・・・・と感じた。お客様より「おたくの会社の対応には不信感はあるけど、君の誠実さに免じてこれでもういいよ」と収束宣言! ホッと一息・・・・・・。
 ところがその数日後、都内某有名百貨店で購入した主婦より同様のクレームが・・・・・・。
 「あぁ、これで命運尽きた」と思い、担当営業とお客様宅へ。麻布の高級マンションの最上階。「主人の居る時に来てください」とのことで、もしかして怖い人・・・・・・と動揺するも覚悟をきめて再訪問すると、ご主人はインテリチックに見えなくもなく、ゴルフ焼け(?)をした精悍な顔でジーッと黙ってこちらの話しを聞いている。
 われわれが説明&お詫びをし終わると、おもむろに口を開いた。
 「御社も大変だなぁ。実は俺は、CM制作会社を経営していて、雪印の事件の煽りを食らって某食品メーカーのCMがお蔵入りになってさ、大損害だよ。お互い頑張ろうや」って励まされて帰ってきたなんて事も、ああ今は懐かしき思い出ですね。

(つづく)

<プロフィール>
山笠太郎(ヤマガサ タロウ)
1960年生まれ。三無主義全盛の中、怠惰な学生生活を5年過ごした後、大手食品メーカーにもぐり込む。社内では、山笠ワールドと言われる独特の営業感で今日に至る。博多山笠は日本一の祭りであると信じて疑わない。


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