たった1人の課長の独断で、1億円近い公費が無駄遣いされる福岡市の現状が浮かび上がった。
福岡市が、市役所西口に約8,000万円の公費を投入して敷設した人工芝「モンドターフ」。ヒートアイランド対策の一環とされるが、人工芝敷設までの経過を示す決済文書などは存在しておらず、不透明な事業であることがわかっている。
まず、誰が、いつの段階で「人工芝敷設」を決めたのかは、方針決済文書が作成されていなかったため、責任の所在がはっきりしない。予算要求時の文書しか残されていないため、市環境局として人工芝敷設を決めた形になっているが、市内部で天然芝と人工芝を比較検討した文書などは何もない。
さらに問題なのは、平成20年の実証実験で「モンドターフ」使用を仕様書に明記した経緯が何もわからないということだ。
市環境局温暖化対策課に経過を聞くが、異動した当時の課長に聞かなければ詳細がわからないという。つまり、行政が行った事業でありながら、支出の根拠、正当性を示すことができないということだ。
やむなく、ヒートアイランド対策に関する一連の事業を推進し、現在は教育委員会に異動となっている当時の担当課長に話を聞いた。
確認したのは次の二点である。
1.人工芝敷設を決めた経緯とその理由及び決定を下した職員。
2.平成20年の実証実験における仕様書で「モンドターフ」を指定した理由及び決定を下した職員。
当時の担当課長は、「モンドターフ」使用について縷々説明を続けるが、誰が最終的な判断を下したのか明言しようとしない。追及するなか、興奮気味の課長は「私が決めたということですよ」と言いだした。つまり、課長の独断で人工芝敷設を決定したというのである。
さらに、実証実験で「モンドターフ」を仕様書に明記した経緯についても、「私が決めたということでいいですよ」と言う。
当時の担当部長と局長には「口頭」で説明しており、問題はないと強弁するが、そのことを証明する公文書は、何も残されていない。
これでは、1課長の裁量で、1億円近い公金が垂れ流されたことになる。
課長とのやり取りをできる限り再現してみよう。
※記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら