日本政府・外務省の5月の決定に従い、2010年7月1日より中国・個人観光客向けのビザ発給要件が大幅に緩和されることになりました。待ちに待った政策の施行に日中両国から熱い期待が寄せられています。
<新政策成立の背景>
2000年以来、中国からの訪日者数は増え続け、2008年には100万人を突破しました。世界的な金融危機に続く経済不況の影響を受けた09年でも、訪日外国人数は19%減りましたが、中国人訪日者は1%の伸びを見せています。その年、中国からの訪日者数は日本にとって唯一のプラス成長でした。
より多くの中国人観光客が来日するに伴い、従来型の団体旅行(ツアー)が多様かつ個性的になったニーズに対応できなくなっています。
2009年7月より、日本政府は中国個人観光客向けのビザ発給を始めました。しかし、年収25万人民元(約350万円)というハードルでは、事実上、富裕層しか行けないことになります。それに加え、北京、上海、広州戸籍の人しかビザ申請ができないという制限もありました。日本観光庁の統計によると、2009年7から12月までの間、7,688人しか個人観光ビザを得ていません。
そこで今年、来日中国旅行者が180万人を達成するように、規制緩和された新政策が施行されたのです。
<新政策の3つのポイント>
(1) 個人観光客のビザ申請を受ける地域が、中国全土の日本総領事館まで拡大。今までは北京大使館、上海や広州の総領事館のみ。
(2) ビザ申請代理を行う旅行社の範囲が、北京、上海、江蘇、浙江、広州、深圳の48社から中国全土の290社まで増加。
(3) 年収6万人民元(約80万円)以上であれば、本人及び3等親族がビザ申請をできる。あるいは、家族連れでの日本旅行が実現できるようになった。
ただし、今回の規制緩和には残された課題もあります。
【劉 剛(りゅう ごう)氏 略歴】
1973年12月生まれ。中国上海出身。上海の大学を経て、96年に地元の人材派遣会社に入社。10年3月より福岡に常駐。趣味は読書。
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