10日、午後5時46分頃、福岡市中央区天神で行なわれていた参院選に伴う民主党の街頭演説の場に拳銃を持った男が現れた。拳銃に気づいた党関係者が取り押さえ、警察に通報。駆け付けた警官に銃刀法違反容疑で現行犯逮捕された。福岡県警によると、逮捕された男は高瀬正二郎容疑者(71)。所持していた自動式拳銃には弾倉が入っていなかったものの、別に容疑者が所持していた紙袋からは弾が込められた弾倉が入っていたという。
男性ふたりが老人を羽交い絞めにし、一体になって近づいてきた。老人の手には黒いものが握られていた。よく見るとそれは拳銃であり、何度も銃口がこちらを向いた。
そのころ演説を行なっていたのは民主党の古賀一成衆議院議員だった。他にも同党の国会議員4、5名が参加していた。場所は渡辺通沿いの西鉄天神駅前。付近には、天神パルコ、宝くじ売り場があり、人通りは多い。コンコース内には、選挙演説に耳を傾ける聴衆が100名以上集まっていた。
「手に持っているのは何だ!」。高瀬容疑者と取り押さえた党関係者のやり取りは、演説でかき消された。拳銃騒ぎに気づいたのは、周囲にいた少数の人間のみ。パニックが起きることはなかった。その後も選挙演説は続けられ、何事も無かったかのように終了した。降り続いていた雨は激しくなり、一時的に豪雨となった。警官が駆け付けてからも、その騒動の内容まで知る聴衆はほとんどいなかったように思える。
幸い発砲されることはなく、負傷者も出なかった。しかしながら、一歩間違えば惨劇が起きていた。高瀬容疑者は実弾を携帯しており、発砲する可能性は低くはなかった。惨劇は突然として起こる。通り魔事件が頻発している今、我々はいかにして身を守るべきなのか。社会は、一人ひとりが危機感をもって考えなければならない状況にある。
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