福岡市が、約8,000万円もの公費を投入して市役所前広場に敷設した人工芝「モンドターフ」。一連の事業の不透明な経緯を追求するなか、当時の市環境局温暖化対策課長だった安部修氏(現・教育委員会生涯学習課長)は、福岡市が、平成20年に行った「市役所西側ふれあい広場 ヒートアイランド対策実証実験」の仕様書に、モンド社の「モンドターフ」を指定した理由について話し始めた。
「(市の)環境局、道路下水道局、水道局は、福岡大学からいろいろな技術的な勉強をさせてもらっており、勉強会を作っている。勉強会の名前は忘れた。道路下水道局の河川課が窓口。その勉強会を通じて、効果があるということを知っていた。当然、天然芝よりも人工芝の方がいいだろうと思っていたが、メンテのことも考えた。
とにかく、その保水性人工芝というのが、効果があるということを私は知っていた。とにかく実験だから、実験はとにかくこれでやって、これで試してみようということにした。
ほんとに、保水性の人工芝に効果があるのか。福大の方では効果があったということを発表していたので、使ってみようということにした。あくまでも実験。これはもう一過性の、何か月かの実験だから」。
安部課長は、福大と市側の勉強会を通じて「モンドターフ」を知っていた、実験だからそれを使ってみることにした、と言う。ずいぶん安易な決定である。千数百万円をかける実証実験であるにもかかわらず、他の製品と比較もせずに「モンドターフ」を指定したことになる。行政のやることとは思えない。
それでは誰が「モンドターフ」を指定したのか、核心部分について聞いた。
── では、阿部課長の判断でモンド社の「モンドターフ」を指定したのか
「モンド社の指定をしたのか、といえば、福大が使っているのと同じやつで使ってみましょうとかいうことは当然提案しました。はい」
── 課長の提案か?
「そうですね。私の提案」
── あなたが仕様書に入れた?
「そうですね。私が。まあそういうかたちで」
なんと、一課長の判断で「モンドターフ」使用を決め、実証実験の仕様書に明記したというのである。
「公金私物化」の実態が明らかになった。
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