<私の提言は「慈愛・奉仕」>
―会長職の任期1年間の抱負をお聞かせください。
関戸 会長職になって改めて今、ライオンズクラブの一員としての心構えについて考えています。どこのクラブでも会員数の減少が課題になっていますが、組織として維持し引っ張っていくためにも、今は経済的にも苦しい時代だけに「何のために存在するのか」といった目標をきちっと再確認しなければならないと感じます。決して、人を増やすことだけを目的にしてはならないですね。
そういう意味でも、とくにこれからの世代をしっかり育てていこうという気運が、福岡の各クラブで盛り上がっています。新しい取り組みとして、この7月から福岡の各クラブに所属する若い人たちを集めて勉強会を行なう「アカデミー部門」が立ち上がる予定です。
福岡LCでのこれから1年間の方針を示す私の提言は、「慈愛・奉仕」。これは自分がかかわる周囲だけを助けるというのではなく、人を本当に愛して平和な国、平和な地球を保っていけるような努力をする姿勢を土台に、損得勘定なしに自分のお金と時間をどのように奉仕していくかを、皆さんで一緒に考えていきたいと思っています。
もう一度、原点に返ってやっていく時代が、今ではないかと。こういう姿勢を強く打ち出していかないと、逆にこれからの組織は誰も付いてきてくれないんじゃないかとも思います。
「奉仕」というものを考えたとき、ライオンズクラブという会があって、そこにある程度縛られて、毎年一定の寄付や活動をしているというのは、実は個人が個人の意思だけで行なうよりもよっぽど続けていけるかたちだと思います。私の場合、それがLCだったわけですが、団体に属しているからこそ続けられる奉仕活動なのだなと、つくづく感じます。
私自身、盲導犬協会への寄付やミャンマーへの救急車贈呈なんて、個人ではとても9年間続けていけるものではなかったでしょう。団体で取り組むからこそ目標に向かう執念も、そして達成感も大きいですから。また、そういうなかで人が磨かれていくことに、価値があると思いますね。
<年会費20万円すべて個人のお金で>
―ライオンズクラブというと、資金的にも余裕のある経営者でないと入会できないのでは、と思われているようですが。
関戸 たとえば、もともと私は、すごい事業家のようにお金が有り余っているわけではありません。15年前に夫を亡くし、その後は女手一つで子ども2人を大学に出して結婚を見届けていくなかで、LCの活動も続けてきました。
奉仕というのは、お金が余っているから施す、お金持ちがするもの、というのではないと思いますね。人間必ずどこかで誰かとつながっていて、そういう社会で人を救うことも考えていくものだと。
LCの会費は年間20万円で、そこからいろいろな活動にあてていくのですが、私は会社を経営しているわけではありませんので、会費も完全に個人のお金で支払っています。だからこそ、本当の奉仕を学べたんじゃないかなと。
自分が一生懸命働いて得たお金が、海外の小学校の建設費になっていたとか、目の見えない方に役立ったとか、何年か後に分かるわけです。なぜLCに入ったのか、今改めて分かった気がしています。
ですから、多額の寄付なんてとてもできませんが、これからの1年間は福岡LCの会長を担うなかで、私のやり方・考え方で、少しでも活動が良いかたちで行なわれていくよう、役に立てればいいと思っています。
この職も、完全にボランティアであるというのが魅力です。純粋に活動できますから。人間としても成長させてもらえると思っています。
【豊浦 美紀】
<プロフィール>
関戸 秀子(せきと ひでこ)
1981年、第一生命保険入社、97年退社。2000年、明治安田生命に入社し、06年マニュライフ生命に入社。この間、02年に女性会員第一号として福岡LC入会。10年、福岡LC会長に就任。
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