14日、香椎幼稚園(福岡市東区)を運営する学校法人筑紫海学園は、評議員会を開き、賛成10・反対8で同法人の解散を決議したことが分かった。これにより同法人は、2012年3月末の香椎幼稚園閉園以降に解散する運びとなる。
法人解散後、同法人の残余財産である約2億円(施設整備維持引当特定預金:1億4,801万4,792円、現金預金:5,732万4,374円《09年3月末時点》)は、公立大学法人福岡女子大学へ帰属すると言われている。このことを問題視する声は多い。
物議をかもす理由は、同法人の寄附行為は香椎幼稚園の閉園を法人理事会が決定した後の09年10月8日に変更されていること。
「理事の3分の2以上の議決により選定した学校法人または"教育の事業を行う公益法人"に帰属する」という内容が、「理事の3分の2以上の議決により選定した学校法人または"教育の事業を行う者"に帰属する」に変更されたのである。これによって、変更前は対象外であった"公立大学法人"の福岡女子大学も対象となった。
香椎幼稚園では以前から"移転"を考えており、そのための資金を貯蓄してきた。その原資は、保護者が納めた園児の学費が主である。また、収益事業を除き、法人税が非課税となる学校法人の特性をふまえれば、間接的に税金が投入されてきたとも言える。
さらに私立学校法の規定では、残余財産の帰属先が決まらない場合、『国庫に帰属する』(第51条2項)と明記されている。
また一方で、ある福岡女子大同窓生の評議員は、園児の保護者らが作成し提示した「幼稚園移転存続の事業計画」について、目を通さず、全く内容を吟味しないまま法人の解散を決議することに反対しているという。
法人解散後の公金2億円の帰属先を背景に、今回の強行的とも言える解散決議がより大きな波紋を呼ぶ可能性は高い。
【山下 康太】
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