別の仕事とかけ持ちで働いている中洲のホステスは決して少なくはない。中洲を彩る夜の蝶が、昼は普通のOLだったりもする。特に今は、「専業」を雇う側が厳しい状況。先輩ホステスが「何か昼の仕事をしたほうがいいよ」と、後輩にアドバイスするようなご時世である。
前に触れたが、飲みに行った際に少しリサーチしてみれば、美容師と看護士が多いことに気づくだろう。両者は、学費など将来の自分のための費用として働いているという点で共通していることが多い。だが、なかには「ホスト君」に貢ぐために中洲で働いているというタイプもいる。
前者は接客業も真面目に取り組むことが多いような気がする。本業が人を相手にする仕事であり、資質もあるのだろうが、店長やママのしつけにも従順と聞く。
一方、後者は、場当たり的なところがある。よほどホストにはまってしまえば、「惚れた男のため」となるだろうが、たいていは遊びのためのお小遣い稼ぎ。無くても困らない金のために必死になることはない。
先日、早朝の中洲で、ふたりのホストと一緒に中洲大通のコンビニへ入る若い女性の姿を見かけた。もっともホストは、明け方まで商売をしているため、閉店後に客と店外デートなどをする「アフター」は朝方になる。外見から察するに、その若い女性は、中洲で働いた後にホストへ直行したものと思われた。
しかし、そのホストたちの険しい表情と、青ざめた女性の表情を見る限り、「アフター」でないことを察した。何をしているのかと見ていると、コンビニ内のATMに直行したのである。もうお判りと思うが、飲み代を払わせるべく、ホストたちが付き添っていたのだ。
男女の別なく、若い頃に無茶な遊びをした人は多いだろう。だが、「客に飲ませすぎず、遊ばせすぎない」というのも店側の配慮として必要ではなかろうか。今は、サービスの本質が問われている。そして、金の無いところから無理やり狩り取ろうとする商売は、すぐに行き詰まってしまう。「生かさず殺さず」ではなく「生かして殺さず」であって欲しいものだ。というのは、客の立場からの提言である。
その後、その若い女性がしっかりと遊び代を支払えたかどうかは分からない。口座に金が無かった場合はどうなるか。それは稿を分けて記すこととしよう。
長丘 萬月(ながおか まんげつ)
1977年、福岡県生まれ。雑誌編集業を経て、2009年フリーライターへ転身。体を張った現場取材を通して、男の遊び文化を研究している。
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら