先日(16日)報じた「問題視される公金2億円の行方~香椎幼稚園運営法人が解散を決議」について、読者からご指摘があった。
内容は、香椎幼稚園を運営する学校法人 筑紫海学園が、解散になった場合、残余財産となる約2億2千万円(2010年3月末時点)の原資についてである。
指摘を受けた記事では「幼稚園に納められた保護者の教育費が主で、収益事業を除き法人税が免除されることから間接的に税金が投入されている」との説明を書いたが、重要な要素が欠けていた。
それは県や市から学校法人に与えられる『助成金』である。「助成金によって、直接的に税金が投入されている」と読者は指摘する。この『助成金』は、私立学校振興助成法に基づくものであり、同法第一条に記された目的は以下の通りである。
「この法律は、学校教育における私立学校の果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体が行う私立学校に対する助成の措置について規定することにより、私立学校の教育条件の維持及び向上並びに私立学校に在学する幼児、児童、生徒又は学生に係る修学上の経済的負担の軽減を図るとともに私立学校の経営の健全性を高め、もつて私立学校の健全な発達に資することを目的とする」。
言うまでもなく香椎幼稚園への助成金は、"地域の幼児教育振興のため"に与えられたものである。保護者が納めた教育費、助成金、法人税免除を受けて、移転のためにやりくりして蓄えられた約2億2千万円は、明らかに法人理事会のポケットマネーではない。
「幼稚園の移転資金」という目的を変えるのであるならば、当然、社会に対する説明責任が生じるだろう。もちろん納得させる説明でなければならない。
移転・存続を訴える教職員、保護者ら地域住民は、事業計画を作成した。やはり移転資金として約2億2千万円は不可欠であるという。また、現在の場所から移転する以上、すでに始まっている公立大学法人 福岡女子大学の建て替え工事に支障をきたすことはない。
関係者によると、法人理事会は、教職員・保護者から渡された移転・存続の事業計画に一切目を通していないという。なぜ、そこまでして幼稚園の閉園・学校法人の解散にこだわるのだろうか。「福岡女子大学へ帰属させようとしている残余財産以外にも何か理由があるのではないか」と、首をかしげる関係者も増え始めている。
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