我が国の生コン出荷量の前年割れが、40ヶ月にかけて続いている。4、5月は600万m3台とこのままの数値で出荷が続くと、年間(2010年4月~2011年3月)7,000万m3台までに落ち込む公算が高い。
一方、出荷が減少の途を辿っているのであるが、前年同月比で90%台の出荷でありその減少幅は縮小されている。以前福岡県生コン工業組合関係者が述べていた「底に近い出荷量」という見解が、各地区の生コン関係者も同様の見方である。出荷量が前年同月比で上昇している大半は、「前年の落ち込みが激し過ぎた反動」という分析である。
各都道府県の出荷におけるトピックスを見てみると、現況大きなプロジェクトと呼べるのは山梨県での"リニアモーターカーの関連工事"位である。また今後も大きな建設プロジェクトは、期待薄であり、需要減の状況に変わりは無い。
よって出荷減少の幅が縮小されたからといって安閑としてはいられない。確かに底に近い数値である昨今の生コン出荷量で、来年は前年対比で数値上は向上するかもしれない。
ただし、工場数はまだまだ過多である。ZENNAMAデータで、1991年5,000台の工場数をピークにして2010年3月末現在で、3,714工場。ピーク時より約25%工場数は減少しているものの、出荷需要のダウンと比較してその減少ペースは鈍い。机上での数値であるが、後1,500工場は集約あるいは閉鎖しなければならないのである。後1,500工場減り全国で2,200工場前後にスリム化されれば、生コン工場の経営健全化が復活する。地球上に人間が存在するなら、建物は無くならないので生コン業界自体が滅亡することはない。ただし、業界が過去のような栄華を誇れることは皆無に等しいといっても過言ではない。
【河原 清明】
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら