<地方政治を国政レベルへ引き上げる>
福岡県議会議員の原竹岩海氏は56歳。1991年に筑紫野市議会議員に初当選し、連続で3期を務めた。03年には筑紫野市選挙区から県議会議員に出馬し、当選。現在2期目を務めている。
「私は、県議会議員秘書と同時に市長の個人的な秘書を7年半務めていました。『そのなかで地方政治も重要なポジションであり、国政レベルにまで引き上げる必要がある』と認識したのです。アメリカでは元州知事が大統領になることもあります。日本においても地方に優秀な人材がいます。だからこそ、地方政治と国政を同等にしなければならないのです。地方政治に対し、国政レベルの人材が魅力を感じるようにしなければなりません」。原竹氏は、政界進出の動機をそう説明する。
原竹氏が市議会議員を勤めていた99年、県営山神ダムの上流域にある産業廃棄物処理場で事故が起こった。安定型産業廃棄物の最終処分場内における硫化水素ガスが原因で、従業員3名が死に至ったのである。
原竹氏はその当時、市議会の環境常任委員長を務めていた。多くの市民団体が県に抗議しており、市議会としても対応しようとした。しかし、産廃事業は県の所管であり、県と地元選出の県議会議員で対処するとして、県庁で門前払いを受けた。
「市議会議員と県議会議員、県と市の職員には上下関係がはっきりしている。これではだめだ」。原竹氏は県政と市政の上下関係、さらには地方と国政の格差を産業廃棄物問題のなかで感じたという。
原竹氏は産廃問題に取り組む市民団体の声を一本化した。「市役所と市議会、区長会、市民団体が一体となれば、きっと厚い壁も打ち破ることができる」と確信したという。そして、設立準備委員会の委員長を経て「県営山神ダム上流域産業廃棄物処理場対策連絡協議会」を設立し、初代の事務局長に就任した。
さらに「県議会議員の先生方が頑張っているかもしれないが、私たちには動きが見えない。だから、自分が立候補して産廃問題を全部片付ける」として県議会議員に出馬した。そして現在、県議会において、本会議、特別委員会、決算特別委員会、環境審議会など、機会があるごとに産廃問題を訴え続けている。
<日本の新しいリーダーは福岡から>
秘書経験や産廃問題を通じ、地方政治の底上げの必要性を感じて、自ら政治活動を行なってきた原竹氏。福岡への提言として、次のように述べている。
「福岡県は約500万の県民を有しており、ポテンシャルに溢れています。何よりもアジアに近い。福岡が日本の将来を担っているように感じます。そして、そのような自覚を持った多くのリーダーが育たなければなりません。政治家はもとより企業家、有識者のすべてがアジアへ意識を向けないといけません。佐賀県の人口は約90万人、長崎県は約150万人です。すなわち、佐賀と福岡、長崎が合併すれば約750万人の自治体が誕生します。道州制となった場合、アジアとの距離的な観点から、日本の将来は福岡・佐賀・長崎にかかってくるでしょう。そのなかでも、日本の新しいリーダーは福岡から生まれる可能性が高いのではないでしょうか」。
<プロフィール>
原竹 岩海 (はらたけ いわみ)
1953年7月24日生まれ。79年、久留米大学商学部を卒業し、「(株)大光印刷」入社。82年、同社を退社し、福岡県議会議員秘書を務める。91年、筑紫野市議会議員選挙に初当選、3期連続で務める。03年、福岡県議会議員選挙に初当選、現在2期目。
<事務所概要>
所在地:福岡県筑紫野市紫3-5-1
TEL:092-918-1323
URL:http://www3.coara.or.jp/~haratake/
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