日本振興銀行前会長の木村剛容疑者(48)が銀行法違反(検査忌避)容疑で警視庁に逮捕されたことで、小泉劇場の主要な配役のほとんどが表舞台から姿を消す。木村氏は、金融庁の検査期間中に自らが保有していた大量の振興銀行株を手放していたことが明らかになっているが、実は彼は5年前にも株売却を試みている。そのときの売り先と仲介者はやはり小泉劇場の出演者たちだった。
朝日新聞などの報道などによると、木村氏は金融庁検査の続いている2009年10月から10年3月までの間に3,249株以上を手放した。検査後、振興銀は赤字に陥ったため、結果的に高値で売り抜けていたようだ。木村氏は09年9月末時点で発行済み株式総数の6.2%にあたる1万1,000株を保有する筆頭株主だったが、この3月末時点では開示対象の10位以内から外れている。
木村氏がなぜ検査期間中に株を売却したか、その真相ははっきりしないが、実は彼は2004年の暮れから05年の年初にかけても、振興銀行株を売ろうと考えたことがあった。売却先の候補は、木村氏よりも一足先に逮捕・起訴されたライブドア元社長の堀江貴文氏だった。
ライブドアは当時、独立系のネット銀行イーバンクを傘下に収めようと出資したものの、イーバンクの既存経営陣と対立し、経営権を掌握できないまま終わった。しかし、金融業への参入をあきらめ切れなかったライブドアは、このあと社内に銀行設立準備室を設け、大手証券の中堅幹部だった人物をスカウトし、この問題の専従担当者に充てている。
そのころ、木村氏と親密だった村上世彰氏(当時M&Aコンサルティング代表)が、堀江氏に木村剛氏を紹介。ライブドアの関係者によると、木村氏は銀行業参入のアドバイスをするという触れ込みだったといい、彼が日本振興銀行とは別に営んでいるコンサルティング会社KFiと顧問契約を結ぶことを勧めたという。顧問料は約5,000万円だった。
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