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ある建設業者の悪戦苦闘の戦い~「潰れてもおかしくなかった」日建建設(株)・金子社長インタビュー(1)
コダマの核心
2010年7月23日 10:21

<事業継承の大切さを痛感>

日建建設 金子代表 「この3年間、地獄に転落する淵を歩いてきました。どうして潰れず現在に至ることができたのか分かりません」と、日建建設(株)(本社・福岡市中央区六本松)の金子幸生社長は語る。まさしくこの3年間の激闘は生死を別ける壮絶なものであった。金子社長が同社の3代目社長に就いたのは2003年3月、34歳のときであった。そこから50億円規模にまで拡大させた経営戦略を、「縮小」へ軌道修正する過程で幾多も血反吐を吐いたのである。

 「しかし、一方では事業継承してきたことで沢山の喜びも味わえました。潰していたら得ることのできない貴重な体験もできました」と言う。金子社長は、中央区のある一等地の空き家に注目していた。なかなかセンスの良い住宅だ。お客から「買ってリフォームしたい」という要望があったので持ち主と交渉にあたった。ここでびっくり仰天、感激の運命に遭遇したという。

 何と!何と!その「センス抜群の住宅」は、88年(昭和63年)、(株)三京によって設計施工されていたのである。三京は一時、高級住宅造りの評価を得ていた。事業継続の見込みがなくなり福岡地所の傘下に入った。それから金子社長の英断で三京を日建建設の関連会社として引き取ったのである。金子社長は「いやはや、会社を潰していたらこんな素晴らしい感激に浸ることもできなかった。経営者が命を張って事業を継承しなければならない使命感の意味が充分に理解できた」と総括する。

<7年前、「新時代の経営者」として颯爽とデビュー>

 上記した通り、金子氏は34歳の若さで3代目の社長に就いた。日建建設の歴史は一言でいえば『手堅さ』が売り物であった。1950年(昭和25年)の設立以来、官公庁工事を主体にした地味な会社として業界を歩んできた。しかしながら、若さ溢れる金子氏が従来の請負主体の業態に満足するはずがない。請負だけではなくデペロッパーも行なう道を選択した。事業欲に燃える青年経営者として、『100億企業への挑戦』は自然な流れと言えよう。

 さらには、住宅事業にも意欲満々な金子社長は、三京を福岡地所から引き取った。請負を担う日建建設、マンション分譲の日建コーポレーション、住宅の三京の組織三本柱で『100億企業』の道をひた走る思惑だった。確かに当時は、「金子幸生社長は建設業界の次世代を担う人材」と目されていのである。100億円への道のりはまず50億円を突破することだ。まず07年3月期には完工高43億円を突破した。
金子社長としてはこの頃までは「前途洋々」と自信に溢れていたのだ。ところが激変の時代に直面して同社は翻弄・漂流を始める。

(つづく)


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