<大手行、地域金融機関 相次ぎファンド創設>
大手行や一部地方銀行では、日銀が1行あたりに認める上限額の1,500億円を最大限活用し、環境・エネルギー、医療・介護、農林水産などの成長分野に注力する。
みずほ銀行の「成長事業アシストファンド」は、対象分野に企業等における高齢者・障害者雇用促進を支援するバリアフリー投資を含める。融資期間は最長7年。12年度末までに成長分野への資金提供を5,000億円増やす。
みずほコーポレート銀行は、総額5,000億円の融資枠をすでに設定。蓄電池・次世代自動車等の革新的環境技術開発などを支援する環境・エネルギー事業など12分野を想定している。
三菱東京UFJ銀行の「成長基盤強化融資プログラム」は、日銀例示の18分野を対象に1社あたりの融資金額の下限を1,000万円とし中堅・中小企業も含めた幅広い利用を促す。
地域金融機関で第1回資金供給に応募したのは地銀33、第二地銀8、信金6の47機関である。地銀では7月13日までに判明した銀行だけで13行がファンド創設などを明らかにしている。
<新貸出制度は成長基盤強化となるか>
同制度の活用については、大手行や地域金融機関が相次ぎファンド創設するなど、積極的に活用する動きを見せている。参考として、九州・山口の地銀、第二地銀の10年3月末の預金高と貸出高を掲載しているが、最近の設備資金の需要が激減していることを主因として、預金の伸びに比較して貸出の低迷振りが顕著となっている。
この制度が日本経済の成長基盤を強化するためのものとして効果を発揮するのか。各行の対応が注目されるところである。
【久米 一郎】
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