<閉塞感を打ち破る国家戦略「連邦制」>
お蔭様で当社のロボット技術に世界中から注目をいただき、現在様々な国と医療介護分野を中心に、ロボット実用化のプロジェクトを進めています。
特に熱心なのが、デンマークとシンガポールです。デンマークは人口550万人、シンガポールは470万人で、ほぼ福岡県の506万人と同じ規模ですが、この2つの国は世界で最も住みやすく、経済的にも競争力のある国家として知られています。デンマークは福祉介護分野におけるロボット導入を積極的に取り組んでおり、シンガポールは、将来の様々な技術競争力の核としてロボットをとらえています。特に天然資源もなく大国でもない、この2つの国が豊かな社会を実現しているのは、国家戦略として常に将来への投資を他国に先んじて実践しているからであることが、よく理解できます。
翻って、日本の社会を見ると、経済的にも社会的にも負のスパイラルが続き、政権交代だけでは、この閉塞感を打ち破れる可能性は低いように思われます。そこで地域社会を活性化させる仕組みとして「道州制」への議論が進んでいるのですが、私は先の2つの国家が世界的な競争力を得ている実例を見ても、より地方の独立性が高い「連邦制」まで見据えるべきと考えます。
<競争力のある産業を育成することが必要>
日本の歴史上、中央集権は奈良時代から平安中期の律令制度期と明治以降の2回だけです。それぞれわずか150年から200年程度でしかなく、それ以外の時代は地域国家がそれぞれ主権を持って地域の社会と経済を発展させてきました。そして戦国期から徳川時代を見ると、それぞれの地域国家はその土地ならではの経済発展政策を実行して、地域の社会経済は大きく発展していました。
さらに16世紀の日本は、人口3千万に達していて、当時世界を覇権していたイギリスの600万人、ポルトガルの150万人と比べても大国でした。鉄砲の数ではフランス一国で3千丁程度だったのに対し、織田信長だけで3千丁、他の諸国を合わせると1万数千丁と、非常に強力な軍事力を持った、世界有数の連邦国家でもあったのです。
現代の世界では軍事力よりも、その国家の経済的競争力が、豊かな社会の実現を左右する重要な要素です。
「日本連邦」United States of Japan実現のためには、まずそれぞれの地域主権国家が世界的に競争力のある産業を育成することが鍵となるでしょう。
これまでの中央集権体制を壊し、連邦国家を作り上げるには、明治維新と同じか、それ以上のエネルギーが必要です。しかし日本再生には、社会構造を本来の連邦制に戻すしかない、と歴史は教えてくれていると思います。
福岡県は人口規模から言えば地域主権国家になり得ますが、九州ぐらいの面積と人口のまとまりが望ましいでしょう。そして九州は、独自の社会、文化、経済構造を持ち、連邦国家として発展できる可能性を秘めています。
連邦国家の実現には信長のような強力なリーダーシップが必要かもしませんが、まず九州、福岡に住む私たち自身が国家像を議論し、将来の世界的競争力のある「九州独自の産業育成戦略」を描くことが重要ではないでしょうか。
<プロフィール>
高本 陽一 (たかもと よういち)
1956年2月24日、門司生まれ。神奈川大学卒業後、大阪市の産業機械製造会社に入社。その後北九州市へ戻り、「高本商会」に専務として入社。87年11月、「(株)テムス」と社名変更し社長に就任。2000年に「(株)テムザック」を設立し、ロボットの開発・販売に携わる。
<会社概要>
(株)テムザック
代表者:高本 陽一
所在地:福岡県宗像市江口465番地
設 立:2000年1月4日
資本金:10億7,763万円
TEL:0940-38-7555
URL:http://www.tmsuk.co.jp/
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