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中洲バトルロワイヤル2010(23)~店長もツライよ
中洲バトルロワイヤル
2010年7月26日 10:38

 商売においてもご近所付き合いは大事。困った時は隣近所の店同士で助け合うことがある。具体的には、別の店の人間が客として違う店に飲みに行く。客がいなければ従業員の身入りも減るからである。昔から行なわれてきたそうだが、切羽詰まった店になるとそうした義理もあったものではないようで...。今回は、ツケに関するエピソードをひとつ。お話しよう。

 A店の店長がB店に客として飲みに行った。高い酒のボトルを入れ、開店から閉店まで飲み通して使った金は6万円。飲み代はもちろん自腹、支払いはキャッシュである。客が全く来ないという緊急事態を救うために行っている以上、ツケにできない。

中洲 数日後、今度はその時の御礼にとB店の店長がA店に来た。B店長も豪勢に飲み倒してA店長と同額の6万円分のアルコールを腹に収めた。ところがである。「あいにく、持ち合わせがない」との理由でB店長はツケにした。逃げも隠れもできない隣近所の店であるからして、内心忌々しく思いながらもA店長はそのツケを断れなかった。しかし、回収不能という"最悪の場合"は、A店長が責任を持たねばならない。B店長の飲み代を代わりに店に払うことになる。

 結局、B店長のツケは、数カ月経っても回収できなかった。それどころか、A店長が電話で催促しても、「店がヒマだから無理。また飲みに来てよ」と、開き直ったあげく図々しく頼まれたという。こうなれば強硬手段に出るしかないと、A店長はB店へ向かった。B店の入口の前に立つと、なかからはたいそう賑やかな声が...。「ウソばかりつきやがって、うちはガラガラなのに、客が入っているじゃないか!」。少しばかり残っていた同情心もきれいさっぱり吹き飛んだ。A店長は荒々しくドアを開けて突入した。

 しかし、店内で見たものは、店の女の子と一緒になってベロンベロンに酔っぱらったB店長の姿だった。他に客らしき姿は全く見ることができなかった。A店長は自分が"最悪の場合"に陥っていることを悟った。B店長は、ついに自分の店の客となり、自腹で従業員の給料を支払っていたのだ。

 他の店から仕入れた情報では、B店長はA店や自分の店だけではなく、よそでも飲みまくっているという。現実逃避か。B店が閉店に至る日は近いかもしれない。
 一方のA店長は、そんなB店長の姿を、近い将来の自分の姿であるかもしれないと反面教師にして、自分の店の経営、特に従業員教育にいっそう熱心に取り組むようになった。立て替えた6万円を授業料にしたと言えるが、いやはや、店長もツライよ。


長丘 萬月(ながおか まんげつ)
 1977年、福岡県生まれ。雑誌編集業を経て、2009年フリーライターへ転身。体を張った現場取材を通して、男の遊び文化を研究している。


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