私は感じている。日本・九州の大転換をしなきゃいけない、と。
―では今後、九州はどのような方向に行くべきだと思いますか。
出井 私がクオンタムリープを始めたとき、九州とくに福岡が中国などのアジアから近かったから、そこでフォーラムを2回やってみました。そのとき感じたことは、やはり九州というのは、九州の人から見たら市があって県があって九州があるわけですが、その先に日本という視点がないのではないかと感じました。本当に独立したら何をやるのか、その辺がちょっと中途半端です。
さらに、九州は半導体と自動車産業で成功を収めたわけですが、もうすでに次の施策が必要になっています。
九州がこれから頑張っていくためには、自分自身でリスクをとる人たちを増やさなきゃいけないと思います。そういう動きが、これから結構現れるのではないでしょうか。九州の7人の知事が集まって、九州を1つの国として見ていくことが大事ですけど、私が言っているのは道州制という意味ではありません。独立国として、どういうことまでができるのかということを、たとえば九州のなかで会議体を作ってやってみたら結構面白いのではないでしょうか。学生とかビジネスマンとか、行政の人とかも少し入れて、みんなが発表しあってそのいいとこ取りをするみたいな感じで。ずいぶん、いろんなアイデアが出てくると思います。
そういう風に考えると、九州の未来というのは産業改革ができると思います。7人もユニークな知事がいるわけですから。では自分のところは何を担当しようかとか、7人がうまく分業しあって補完的になれば、かなり面白い1つの国になるのではないかと以前から思っています。
【大根田康介】
<プロフィール>
出井 伸之(いでい のぶゆき)
1937(昭和12)年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。60年にソニー入社。95年に社長就任。99年よりCEO(最高経営責任者)を兼務。2000年、会長兼CEO。05年に退任。06年、クオンタムリープ株式会社を設立し、代表取締役に就任。産業の活性化や新ビジネス・産業創出を実現するための活動をグローバルに展開している。他にアクセンチュア、百度(Baidu)、フリービットの社外取締役、美しい森林づくり全国推進会議の代表などを務める。著書に『迷いと決断―ソニーと格闘した10年の記録』(新潮社、2006年12月)、『日本進化論―二〇二〇年に向けて』(幻冬舎 、2007年7月)、『日本大転換―あなたから変わるこれからの10年』(幻冬舎 、2009年9月)などがある。
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