ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

直撃インタビュー

【トップインタビュー】クオンタムリープ代表 出井伸之氏(4)~世界の都市の規範に
直撃インタビュー
2010年7月29日 08:00

私は感じている。日本・九州の大転換をしなきゃいけない、と。

 ―当社は今、「建設特集」というかたちで九州県内の各建設業協会をまわっていますが、やはりこれまで九州経済を支えてきた地場建設業界が苦境に立たされています。

 出井 さっきおっしゃったように、ゼネコンのほか、20世紀に発展をとげた産業の疲弊はかなり顕著だと思います。それに九州は求人倍率も全体的に低い。私はそういう意味で、これからはソフト関係の技術をどういう風に産業化するか、これまでの技術や経験を統合したサービス産業をいかに強くしてゆくかが重要だと思います。たとえば新しい医療をどうやっていくか、老人のケア問題などのサービス産業をどうしていくか、そういう地元の質のクオリティを上げていくことにおいて、九州から東京に出て成功していらっしゃる方たちがいますよね。

クオンタムリープ代表 出井伸之氏 そういうことを考えてみると、農業もサービス産業も、もう一度見直すことが大事です。九州は第2次産業の工業で成功した側面を持つわけですから、それを発展させたソフト産業にすごく可能性を感じます。知のインフラとしても大学にしても、九州大学、立命館アジア太平洋大学なんかをもっと大きくしていいでしょう。そういう面では、教育もできるし、医療もできるし、食品産業もあるし、農業もあるから、そういうことを統合して九州の国づくりをもう一度見直すのが大事なのではないでしょうか。

 福岡の街のとても良い点は、エアポートに近いことがありますけど、そのような利便性の良い街をもう一個佐賀の方にサテライトシティとして作ってしまえば、そこから若い人は都会に働きに行きますし、農業に行ったりする人もいるでしょうし、ご高齢の方々はその周りに住むようになるでしょう。

 「里山」という概念がありますね。そこでは里と山の緩衝地帯として、動物と人間が共存できる、という概念があったわけですが、今に置き換えれば里と都市の緩衝地帯として、「里村」を新しいインフラとして作ってはどうでしょうか。九州ならではの地域性を使って、風や水や地熱など自然のエネルギーで電気を起こして、新しい街を作ってみたらどうかと思います。

 あと電気の直流と交流の問題などを考えてもいい。電気は交流ですけど、代替エネルギーっていうのはほとんど全部が直流で起こしているわけです。だから、交流と直流をいかに混ぜるかという考え方も必要だと思います。そうすると、交流のなかに直流を混ぜるという概念じゃなくて、交流と直流が共存するようなスマートグリッドのようなものを、たとえばサテライトシティで作ってみてはどうでしょう。そうすると、世界の都市の規範になりますから、世界中の人が、その街を見に来るかもしれません。

(つづく)

【大根田康介】

<プロフィール>
出井 伸之(いでい のぶゆき)出井 伸之(いでい のぶゆき)
1937(昭和12)年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。60年にソニー入社。95年に社長就任。99年よりCEO(最高経営責任者)を兼務。2000年、会長兼CEO。05年に退任。06年、クオンタムリープ株式会社を設立し、代表取締役に就任。産業の活性化や新ビジネス・産業創出を実現するための活動をグローバルに展開している。他にアクセンチュア、百度(Baidu)、フリービットの社外取締役、美しい森林づくり全国推進会議の代表などを務める。著書に『迷いと決断―ソニーと格闘した10年の記録』(新潮社、2006年12月)、『日本進化論―二〇二〇年に向けて』(幻冬舎 、2007年7月)、『日本大転換―あなたから変わるこれからの10年』(幻冬舎 、2009年9月)などがある。

*記事へのご意見はこちら



※記事へのご意見はこちら

直撃インタビュー一覧
直撃インタビュー
2011年1月 6日 08:00
直撃インタビュー
2011年1月 5日 08:00
直撃インタビュー
2011年1月 4日 08:00
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル