鹿児島県建設業協会 会長 川畑 俊彦 氏
コンクリートから人へ。民主党のキャッチフレーズだ。この言葉が先行し、曲解されてコンクリート、つまり建設業界と公共工事がまるで悪の象徴のように思われてしまっている。マスコミの報道のあり方、建設業界自体の情報発信のやり方、この両者が今、問われているのである。鹿児島県建設業協会の川畑俊彦会長に鹿児島県の状況とその未来を聞いた。
――建設業は国内で40兆円を超える市場規模を持つ大きな産業です。鹿児島での建設業の姿をおうかがいします。
川畑 鹿児島では、全就労者の約8%が建設業に携わっており、全産業を含めた県内総生産の約1割を建設業が占めております。規模、就業者の両方で1割を占める産業は基幹産業と言っても過言ではないと思います。
――昨今、公共投資の減少が続いており、業界規模の縮小が進んでいます。
川畑 先ほどの従業員数に関しても、最盛期には12%ほどあったのです。これが8%に下がりました。公共投資も同じように減少傾向にあります。鹿児島県の2009年度当初予算は1,700億円という低い水準に落ち込みました。その後、国の経済危機対策に呼応して、県も3回の補正予算が組まれ386億円の増額がなされました。この数字は05年度の水準と同程度となりました。
――10年度の予算はいかがですか。
川畑 3月の補正と合わせて当初予算で前年度を上回る1,712億円が確保されました。これについて伊藤知事は「雇用の問題、地場経済浮揚を考えると国と同じように削減することはできない」と言ってくれております。建設業者としては、とてもありがたい言葉でした。
――地域に合わせた施策を執るというのは大切なことですね。
川畑 地方と都市圏では公共事業の意識も違うのです。鹿児島県の離島には住民が30人、50人というところもあります。そういったところで費用対効果を計れば、当然、とても低い数字があらわになります。けれども、そこに住んでいる人にとっては、港を整備したり、桟橋をつくったりするということが生命線なのです。
――東京、大阪などの大都市と地方とではインフラの充実度も違います。
川畑 そういうことなのですが、マスコミでは一緒くたに語られることが多く、なかなか真実の姿が分かっていただけません。日本では7割の人間が3割の国土に住んでいます。ただ数字だけでアンケートをとったならば、7割の人間の意見が圧倒的多数を占めることになりますが、声の小さな3割の人間が住んでいる地域の方が国内では広いのです。地方と大都市とを同じ感覚で計ってはならないと思います。3割の人間は地域に根を下ろして暮らしているのですから。
【文責・柳 茂嘉】
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