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エコアス（株）、リサイクルプラントを増設～循環型社会を実現する静脈産業

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2010年7月16日 11:58

汚泥リサイクルプラント（有機性汚泥脱水処理施設）　2010年６月、福岡市内で唯一の有機性汚泥リサイクルプラントを持つエコアス(株)が、処理品質の向上を目的としたプラント増設工事を完成させた。約1,300万円を投入した同社の設備投資を、循環型社会への移行を実現する静脈産業の取り組みとして紹介したい。

＜生命体の循環を担う静脈産業＞

　自然から採取した資源を加工し有用な財を生産する諸産業は、動物の循環系になぞらえて「動脈産業」と呼ばれる。それに対して、産業が排出した不要物や使い捨てられた製品を集め、それを社会や自然の物質循環過程に再投入するための産業は「静脈産業」と呼ばれる。
　日本では、2000年に基本的な枠組みを定めた「循環型社会形成推進基本法」が制定され、従来は再利用（Recycle）のみを促進するものであった「再生資源利用促進法」が、「Reduce（発生抑制）」、「Reuse（再使用）」、「Recycle（再資源化）」の「３R」を総合的に促進する「資源有効利用促進法」に改正され、「廃棄物処理法」の規制も強化されている。
　廃棄物処理、リサイクルといった静脈産業はそれまで中小企業が中心であったが、新たなビジネスチャンスを狙って、セメント、鉄鋼、非鉄などの大手メーカーやベンチャー企業なども続々と参入しており、21世紀の成長産業として近年はその基盤を拡大している。
　しかし、市場規模拡大の一方で、リサイクルの推進や工場のゼロエミッション化は結果として廃棄物の処理量を減らすことにつながる。そのため、運搬、焼却、埋立という従来の廃棄物処理業務は競争が激化しており、より高次な環境ソリューションの提案が求められる傾向にある。

＜福岡市内唯一の有機性汚泥リサイクル施設＞

　産業廃棄物処分場といえば、都市部から離れた場所で焼却処理や埋立処理を行なうのが一般的だが、エコアス(株)は地球環境への負荷を考慮し、「脱水処理」にこだわった有機性汚泥脱水処理施設（汚泥リサイクルプラント）を、都市部にほど近い博多区西月隈に設置・運営している。
　有機性汚泥とは、飲食店・ホテルなどの厨房排水汚泥や各種製造業の排水処理後に生じる残渣（ざんさ）など、有機性の汚泥のことを指す。回収した古紙から再生紙が作られるように、汚泥もきちんと処理を行なえば、安全な堆肥原料として再生することができる。脱水処理後に生成される堆肥原料「脱水ケーキ」は、堆肥生産業者に供給され、高品質な有機堆肥に加工される。その有機堆肥は全国のJAに出荷されるほか、商社を通じて中国や東南アジアにも輸出され、砂漠土壌の改良材としても活用されている。
　同社は今回の設備投資で、リサイクルプラント内に有効容量34ｍ³（縦7.9m、横2.8m、深さ３m）の増設された鉄筋コンクリート壁式構造の「好気性攪拌式汚泥貯水槽」鉄筋コンクリート壁式構造の「好気性攪拌式汚泥貯水槽」を増設した。水槽内には水中攪拌機２基、中継ポンプ２基、曝気ブロア（エアレーション）１基を設置。これにより、汚泥性状の均一化による脱水効率の向上のほか、「BOD（生物化学的酸素要求量）」「COD（科学的酸素要求量）」「SS（浮遊物質量）」「N-hex（ノルマルヘキサン抽出量）」の軽減による放流水の水質向上、さらには臭気の軽減による周辺地域への配慮などにつながっている。また、１日あたりの最大受入容量も、従来の約1.5倍に拡大している。

＜常に進化する汚泥処理のエキスパート＞

　「収集運搬～中間処理～リサイクル」の循環型システムを構築している同社最大の強みは、その機動力の高さにある。同社が得意とするビル排水槽（ビルピット）清掃および汚泥処理においては、福岡では希少な存在である超強力吸引車（吸引風量＝毎分70ｍ³）を保有していることから、博多デイトス、福岡パルコなど大型施設においても抜群の機動力を発揮しているようだ。
増設部分は地中に設置され、現在は上側面が確認できる。　また、飲食店など油脂類を下水道に排出する事業場に対し、行政は油脂類を排水から分離して収集するグリーストラップの設置とその適切な維持管理を義務付けているが、同社はそのグリーストラップ清掃において、九州エリアで年間3,000件以上の実績を持つ。
　グリーストラップとは、調理場などからの排水に含まれる油脂類を分離浮上させ、収集する装置のこと。油脂類（グリース）をせき止めるために厨房内外に設置してあるグリーストラップは、食材の残渣や汚泥などが下水道管に流れ込まないようにする最後の砦となる。そのため、この装置の維持管理を怠ると、悪臭や害虫などが発生することになる。
　現在、エコアスは飲食店業界・食品工場などに向けて、厨房グリーストラップ清掃の案内DVDを制作し、無料で配布している。時代のニーズによって、常に進化する汚泥処理エキスパートの環境ソリューション。その技術に関心のある方は、ぜひ一度ご覧いただきたい。