<専門家からの提言>
幼稚園教育の義務教育化を北京師範大学教授が提言しています。しかし、今年公表された「国家中長期教育改革と発展企画概要」には、「2020年までに小学校入学前の1年教育を全面普及させる」としか載っていません。これは、幼稚園3年のうちの最後の1年を全国的に普及するよう努力するといったものです。その1年も「義務教育」の対象になっていません。
一方で、「幼稚園教育法」を作るよう、中国幼稚園教育研究会の副理事長が政府に呼びかけています。これは、幼稚園教育に関する政府責任、管理体制、経費の投入、先生の権利や責任など、法律の形ではっきりと決めることで、はじめて幼稚園教育事業の長期発展を保障されるようになるといった提言です。
また、根本的に政府が幼稚園教育を見直すべきとの声も上がっています。幼稚園教育は社会公益事業であり、公共サービスの一環として認識すべきとの意見です。幼稚園に入園するのは子供の権利であり、だれでも享受できるようにしなければいけない。政府が主役となって取り組むべきとの考え方です。
<保護者の新たな措置>
中国西部にある重慶市の若い母親たちは、自分の子供を安く学費で、確実に入園できるよう、ネット交流を通じて幼稚園応募団を結成しました。そして、学費の前金払いといった条件について、団結して幼稚園側と交渉しています。マスコミの取材によると、幼稚園側もこのやり方も認めているそうです。もっとも幼稚園も生き残ることを考えなければならず、前もって園児を確保できるなら仕方がないとの判断です。現実的なwin-winスタイルのひとつと言っても過言ではないでしょう。
【劉 剛(りゅう ごう)氏 略歴】
1973年12月生まれ。中国上海出身。上海の大学を経て、96年に地元の人材派遣会社に入社。10年3月より福岡に常駐。趣味は読書。
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