私は感じている。日本・九州の大転換をしなきゃいけない、と。
出井 そういえば、沖縄って九州に入るのですか?
―そこは微妙なところですが、たしかに九州と沖縄は別だという考え方はあります。
出井 九州は概念として沖縄も含んで、今後の形を考えることも必要だと思います。沖縄の自然の海をきれいに保つというのは重要なことですし、九州の近くには素晴らしい離島がたくさんあります。そういうものを活用して、すごく特徴のある島が出てくれば面白いですね。釣りが趣味の人向けの島とか、こっちはゴルフの島とか、こっちは子どもたちがキャンプをする島とか。
観光という分野では、何かちょっと取り違えているのではないかと思います。
―地域活性化の施策として、長崎のハウステンボスが例としてあげられますが、それが早すぎました。環境モデルの街としての意味があったのに、ただのハコモノみたいになってしまったのはすごく残念だと思います。
出井 あれはやはり日本のバブルですよね。要するに、みんなのやりたいこととズレていました。でも、今からでも遅くなくて、あれだけのインフラを利用して自然と結び付けて何ができるかを考えるタイミングに来ているわけですから、いいんじゃないかと思います。
【大根田康介】
<プロフィール>
出井 伸之(いでい のぶゆき)
1937(昭和12)年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。60年にソニー入社。95年に社長就任。99年よりCEO(最高経営責任者)を兼務。2000年、会長兼CEO。05年に退任。06年、クオンタムリープ株式会社を設立し、代表取締役に就任。産業の活性化や新ビジネス・産業創出を実現するための活動をグローバルに展開している。他にアクセンチュア、百度(Baidu)、フリービットの社外取締役、美しい森林づくり全国推進会議の代表などを務める。著書に『迷いと決断―ソニーと格闘した10年の記録』(新潮社、2006年12月)、『日本進化論―二〇二〇年に向けて』(幻冬舎 、2007年7月)、『日本大転換―あなたから変わるこれからの10年』(幻冬舎 、2009年9月)などがある。
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら