<コンクリートは人の英知>
福岡はとても住みやすい街だと思います。適度に都会で適度に自然が残っている街。海が近く、川があり田園が広がり山のある都会です。こんなにバランスのよい場所は全国的に見ても、あまりないのではないでしょうか。佐賀で生まれた弊社は今では福岡にすっかり馴染み、創業60年の歴史を刻ませていただいております。鳶・土工工事、耐震工事などを中心として建設業に携わり、橋りょうや大規模商業施設などを手がけてまいりました。
2008年のリーマンショック以来、世界経済が未曾有の不況に突入し、その余波が福岡の建設業界にも襲ってきているように思います。建設業界自体が存亡を賭けなくてはならない状態がすぐそこまで来ています。
経済は循環するものなので、個別の業界のみが栄えたり衰退したりするものではありません。建設業に関しても世界の大きな流れのなかにいるのだと思います。世間が不況に突入すれば当然のように建設業にも影響がでるのです。現に給与水準が下がってきていますし、これが進めば企業淘汰もなされるでしょう。業界は縮小傾向に陥り、企業数も減ることになると思います。けれども、業界自体がなくなることはないと断言できます。「コンクリートから人へ」と言いますが、コンクリートは人のために生み出した人類の英知のひとつですから。
<得意分野を確立し強い企業へ>
業界が弱体化することは時代の流れです。この流れのなかで私たち個々の業者がやるべきことは生き抜く術を身につけることだと思います。そのために私はそれぞれの企業が独自性を身につけなくてはならないのではないかと考えています。独自性といっても特異な技術を持つ、ということではなく、「あの仕事を頼むのならこの会社」というような得意分野の確立です。これまでやってきたことを磨き上げるということです。新分野への参入は、その会社にとって初挑戦でも社会的には後発になりますから、高いリスクがあると思います。そうではなくて、これまでやってきたことをより充実させ、強い会社になること。これが生き残るためには大切ではないでしょうか。
<政治にも後押しを期待>
2009年には新政権が発足し、10年度予算では建設や土木関連の予算が圧縮されることとなりました。これまでの施策のなかには無駄なものが確かにあったかも知れません。しかしながら、すべての公共事業が無駄であったかというと、私はそうではないと思います。精査し無駄を排除する努力は必要ですが、必要
な部分まで削ってほしくはありません。地震などの災害に強いコンクリートのシェルターは必要ですし、治水や水不足解消のためのダムも国民の生命を守るためには必要です。政治家にはコンクリートが生活に密着していることを忘れてほしくないと思います。
企業は不況に負けない努力を惜しまず、その企業を国や地方は後押ししてほしい。そうすることで建設関係者の収入が上がり社会にお金がまわれば、より住みやすい国になるのではないでしょうか。国がよくなることで地方がよくなり、そこに住む人が充実した毎日を過ごせるようになる。これが未来のあるべき姿だと思います。
<プロフィール>
杉山 秀彦(すぎやま ひでひこ)
1945年4月、佐賀県生まれ。一級建築施工管理技士、一級土木施工管理技士。(社)建設産業専門団体九州地区連合会会長を務める。趣味は温泉とゴルフ。
<会社概要>
(株)スギヤマ
代表者:杉山 秀彦
所在地:福岡市東区多の津4-5-13スギヤマビル5F
設 立:1990年4月
資本金:2,000万円
TEL:092-611-0200
URL:http://www. sugiyama-g.co.jp/
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