ダンピングが常態化してしまった建設業界。建設業界以外にも、例えば牛丼の安売り合戦のように、いわば生き残りをかけた競争が日々繰り広げられている。それがデフレを加速させ、日本経済崩壊の危機をもたらしていることを政治家や役人は理解しているのだろうか。
建設業の一翼を担う内装業を例に挙げる。ここ最近では、デイトスやパルコなど比較的大規模な内装工事があったが、それによって儲かった企業はないと言っても過言ではない。むしろ、これらの工事をしたことで企業生命を奪われた会社も少なからずある。潰れた会社の経営者の能力がないと言ってしまえばそれまでだが、中小零細企業がバタバタ潰れている現状を見ると、決して安直な言葉で片付けることはできない。
残念なことに、元請業者には、ダンピングに立ち向かわねば仕事を確保できない、そうしなければ会社を回していけないという虚しい感覚が染み付いてしまっている。問題はその下だ。下請業者は元請業者から値段交渉をされ、結局は原価よりも低いようなあり得ない値段で仕事をさせられる。その結果、資金繰りが限界に達し、会社が潰れる。負の連鎖以外の何でもないのだ。どこに悪があるのか。
【楢崎賢治】
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